THOC6
遺伝子名: THOC6
| 疾患名 |
ボーリュー・ボイコット・イネス症候群
Beaulieu-Boycott-Innes syndrome
|
|---|---|
| 登録人数 | 1~3名 |
| 登録施設 |
岩手医科大学附属病院
|
| ピアカウンセリング | 希望する |
| 関連情報 |
THOC6遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
Beaulieu-Boycott-Innes(ボーリュー・ボイコット・イネス)症候群(以降はBBIS と記載します)は、2010 年にカナダのフッター派(Hutterite)の集団で、初めて報告されました。その後、2013 年に THOC6 遺伝子の変化がこの病気の原因であることが明らかになり、2020年初めまでに世界中で 19 名(15 家系)の患者さんが報告されています。遺伝子解析技術の臨床応用が進むにつれ、今後診断される方が増えると考えられます。
どういう症状があるの?
この体質をお持ちの方では、成長や発達、体の特徴などについて、気をつけたほうがよい特徴や症状が知られています。以下に記した症状は、限られた報告をもとにしているため、すべてを網羅している訳ではありません。また、同じ体質をもつ方のなかでも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、必ず症状を発症するとも限りません。必要に応じて先回りして検査する必要があるかどうか、何らかの症状がみられたときに体質と関係するものなのか、担当医と相談する際の目安とするものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしている方が多く、中等度から重度の知的障害・発達の遅れと言われます。多くの方で、最終的に一人で歩けるようになりますが、言葉が出ない、または話せる言葉が限られる方が多いと報告されています。発達を見守りながら、療育(発達支援)や教育的支援を通じて成長をサポートすることが重要です。行動面では、自閉スペクトラム症の特徴や、手などを繰り返し動かす常同行動が報告されています。
成長(身長・体重)
生まれたときの体重が少なめの方が多く、幼児期に体重が増えにくい方や、食事・哺乳にお手伝いが必要な方が報告されています。低身長は、約半数程度の患者さん見られると言われます。定期的に身長・体重などを記録し、栄養状態や食べる機能を確認することが勧められます。
頭の大きさ・神経の症状
多くの方で小頭症(頭のサイズが小さい)が見られます。脳の画像検査(MRI)では、脳室拡大、脳梁(左右の脳をつなぐ部分)の形成不全などが報告されています。胎児期から脳室拡大がみられる場合もあります。
てんかん発作も報告されていますが、これまでの報告数が少なく、発作の種類や経過に関する情報も限られています。治療は一般的なてんかん治療に沿って行われます。てんかんかな、と思うような気になる動きがある場合は、安全に配慮したうえで動画に記録しておくと、診断の参考になることがあります。
てんかん発作も報告されていますが、これまでの報告数が少なく、発作の種類や経過に関する情報も限られています。治療は一般的なてんかん治療に沿って行われます。てんかんかな、と思うような気になる動きがある場合は、安全に配慮したうえで動画に記録しておくと、診断の参考になることがあります。
口・歯の症状
むし歯や歯並びの症状(過剰歯を含む)が見られやすいことが知られています。また、あごが小さめな方(小顎症・後退顎)も報告されています。口蓋(口の天井部分)の形の違い(口蓋裂・粘膜下口蓋裂・口蓋垂二裂など)が見られることもあります。定期的な歯科管理が大切です。
心臓の症状
生まれつきの心臓の形の違い(先天性心疾患)が約半数の方でみられます。主に心房中隔欠損症・心室中隔欠損症・動脈管開存症などが報告されています。心臓超音波検査などを行い、医師と治療方針を相談します。
腎臓・泌尿器の症状
片方の腎臓が形成されない一側腎欠損や、腎臓の位置や形が通常と異なる異所性腎臓、馬蹄腎などが腎臓の形の違いが報告されています。腎臓の機能が低下する場合もあるため、腹部超音波検査などで定期的に確認することが大切です。尿路感染症を繰り返す方もいます。
生殖器・内分泌の症状
男の子では精巣が陰嚢に下りてこない停留精巣が比較的多くみられます。女性では、思春期以降に月経が来ない・卵巣機能が低下するなどの症状が報告されています(高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)。定期的なフォローが大切です。
そのほかの症状
難聴や眼の症状(近視、斜視、視神経の形成不全、目が揺れる(眼振)など)を合併する方もいます。また、背骨が左右に曲がる側弯症や、手の小指や薬指が曲がったままになる屈指症が報告されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は常染色体潜性(劣性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。これは2個ある THOC6 遺伝子(自身の父親と母親から1個ずつもらってくる)の両方がうまく働かなくなった場合に症状が出ます。多くの場合、ご両親それぞれが1個ずつ遺伝子の変化を持っていると考えられます(保因者と言います。変化が無く正常に働く THOC6 遺伝子を1個持つため症状は出ません)。次のお子さんで BBIS の体質を持つお子さんを授かる確率は 25%となります。保因者の方は症状が出ないため、気づかれていないこともあります。遺伝に関するお話は遺伝カウンセリング外来にてご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。


指定難病や小児慢性特定疾患などの助成制度への登録は現時点ではありません。個々の症状やその程度に応じて、療育手帳などのサポートを受けられる場合があります。社会資源の活用については担当医にご確認ください。