ZBTB20
遺伝子名: ZBTB20
疾患名 |
プリムローズ症候群
Primrose syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
愛知県医療療育総合センター中央病院
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
ZBTB20遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
この症候群は、1982年に33歳の患者さんの臨床症状が初めて報告されましたが、この時点では原因遺伝子は分かっていませんでした。その後、2014年に原因遺伝子としてZBTB20遺伝子が同定されました。現在まで50名を超える患者さんの情報が報告されており、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。2歳前後でひとり歩きができるようになった方もいれば、9歳で歩行がまだできない方もいます。お話に関しても2歳~3歳で言葉が出る方もいればお話が難しい方もいます。また、言葉は聞こえの影響も受けるため、そちらの確認も重要となります。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長(身長・体重・頭の大きさ)
頭の大きさが大きい(大頭症)方が約80%と言われています。身長や体重は平均的なことが多いです。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
耳の聞こえ
約80%の方で難聴を合併すると報告されています。新生児聴力スクリーニングでの結果が参考となります。聞こえは言葉の発達に重要であるため、気になる症状があれば担当医にご相談ください。
耳軟骨の石灰化
この体質を持つ方では耳軟骨が石灰化(耳を形成する軟骨が石のように固くなる)することが知られています。小児期では半数ほどですが、成人期ではほぼ全例にみられる症状です。これによる症状はありませんが、診断の上では大事な所見になります。
骨の症状
思春期以降、遠位筋(体の中心から離れた部分、手足の筋肉)の萎縮がみられます。成人期ではほとんどの方でみられる症状です。大関節の拘縮(肘関節や膝関節などが硬くなる)も年齢があがるにつれて増え、それまでできていたことができなくなる可能性もあります。側弯症(背骨が曲がる)も半数にみられます。整形外科の医師と協力して診療していきます。
糖尿病
糖尿病になりやすく成人期には70%ほどで合併すると報告されています。定期的に血液検査で血糖値やHbA1c をみていくことが大切です。
てんかん
約20%の方でてんかんを合併すると言われています。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。
その他の症状
目の症状(白内障、斜視)、行動の課題(かんしゃく、自傷)などもみられるため、必要に応じて各診療科に通院しましょう。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。