UBA5
遺伝子名: UBA5
疾患名 |
Developmental and epileptic encephalopathy 44
|
---|---|
登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
|
ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 |
UBA5遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
UBA5遺伝子と症状との関連が初めて報告されたのは2016年になります。同じ時期にフランスとフィンランドの病院から複数名の患者さんが報告されました。これまでに世界中で約50名の患者さんが確認されており、遺伝子解析の技術の進歩により、今後さらに多くの情報が得られると期待されます。
どういう症状があるの?
この体質をお持ちの方では、成長や発達、体の特徴などについて、気をつけたほうがよい特徴や症状がいくつか知られています。以下にご紹介する内容は、限られた報告や研究をもとにまとめられた情報で、すべての症状を網羅したものではありません。あくまで「この体質の方にみられることがある傾向」としてご覧ください。また、同じ体質を持っている方でも、症状のあらわれ方や程度には個人差があります。すべての方に同じような症状が出るわけではありません。この情報は、「どんな症状が出る可能性があるのか」を事前に把握しておくためや、実際に見られた症状がこの体質と関係しているかを医師と一緒に考える際の参考として役立ててください。
気をつけた方がよい症状
発達(運動・言語)
お子さんの発達は非常にゆっくりと進んでいく傾向があります。首が座る、お座りをできるようになりまでにも非常に時間がかかり、大きくなってからも自分の力で移動することが難しい方も少なくありません。またお話も苦手であり、お話によるコミュニケーションが難しい方が多いようです。発達を見守る中で、お子さんに合ったサポートとして療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長(身長・体重・頭の大きさ)
多くの方で低身長(身長が小柄)、体重の増えが悪い、と言われます。体重に関しては、神経の症状で記載したように筋緊張低下により哺乳が苦手、というのも影響します。また、頭の大きさも小さい方が多いと言われます。定期的に成長の記録をつけていくことが重要になります。
けいれん
ほとんどの方でてんかんを合併し、6か月頃に最初の発作が起こる患者さん多いと報告されています。発作を抑えるために抗てんかん薬を使用しますが、中には複数のお薬を使ってもコントロールが難しい場合もあります。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。気になる動きを動画に収めていただくと、診断のヒントとなることもあります。
神経の症状
ほとんどの方で筋緊張低下(筋力が弱い)が見られます。筋緊張低下により発達の進み方や哺乳・呼吸にも影響する可能性があります。また多くの方で、ジストニア・痙直・運動失調など、自分の体を思い通りに動かしにくくなる状態になると言われています。けいれんと合わせ、神経内科の先生と相談するようになります。
眼の症状
約半数の方で屈折異常(近視・遠視・乱視)、斜視(黒目の位置がずれる)、眼振(黒目が揺れる)、など眼の症状を合併します。気になる症状があれば、眼科の先生と相談することが勧められます。
呼吸の症状
UBA5遺伝子に変化をお持ちの方では、筋緊張低下により呼吸が苦手、神経症状として呼吸のコントロールが難しい、誤嚥性肺炎など、呼吸症状に注意が必要です。定期的に担当医と呼吸状態を確認することが重要です。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
UBA5遺伝子異常症は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)というパターンで伝わることが知られています。遺伝子はお父さんとお母さんからそれぞれ1個ずつ受け継ぎ、2個1セットで働いています。UBA5遺伝子異常症では、2個あるUBA5遺伝子の両方がうまく働かなくなった状態と考えられ、ご両親それぞれが1個ずつUBA5遺伝子の変化を持っている可能性があります(このような方を、保因者と呼び、UBA5遺伝子の変化が1個だけの場合、症状は出ません)。このご両親が、次の妊娠・出産でUBA5遺伝子異常症をもつお子さんを授かる確率は25%となりますが、症状の種類や重さの予測はできません。
遺伝に関する詳しいお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関する詳しいお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。