PPM1D
遺伝子名: PPM1D
疾患名 |
Jansen-de Vries syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
PPM1D遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
Jansen-de Vries症候群は2017年にオランダのJansen、de VriesらによりPPM1D遺伝子に変化を持つ14名の患者さんに関する臨床情報が記述されたのが、初めての報告になります。現在まで文献では50名を超える患者さんが報告されており、今後も遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。多くの方で一人歩きが可能となり、平均2歳というデータがありますが、歩き方が不安定な方も少なくないようです。お話に関しては運動面より苦手な方が多く、初めての言葉は12か月~15歳と幅があり、言葉によるコミュニケーションができない方も報告されています。また、最近では一部の患者さんで退行(できていたことが出来なくなる)を合併するという報告もあり、注意深く経過を見る必要があります。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
出生時の体格は標準範囲内の方が多いようです。出生後は、約半数の方で小柄(身長・体重が標準範囲を下回る)、小頭症(頭が小さい)と言われています。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
神経の症状
筋緊張低下(筋力が弱い)は約70%の方で合併すると報告されています。筋緊張低下により、のんびりした発達、不安定な呼吸、哺乳障害(飲むのが苦手、時間がかかる)の原因となります。哺乳障害が強い場合、経管栄養(鼻から胃にチューブを入れて、直接栄養する)を要することもあります。また約30%の方では痛みを感じにくいと言われます。
お腹の症状
この症候群では、お腹の症状に注意が必要となります。約70%の方で慢性的な便秘を有しています。また、反復する嘔吐(約50%)、胃食道逆流症(約40%)も頻度が高い合併症となります。これらの症状がある場合、担当医にご相談ください。
精神の症状
約60%の方で自閉症スペクトラムに見られるような行動の特徴(視線が合いにくい、言葉のキャッチボールが苦手、多動など)や、周りの人との距離が近すぎるなどの性格の特徴を持つと言われます。また不安が強い方も多いようです。気になる症状があれば担当医にご相談ください。
眼の症状
斜視(30%)、近視・遠視(各15%ずつ)など約70%の方で何らかの眼の症状を合併すると報告されております。定期的に眼科の先生へ通院することが重要です。
手足の症状
機能的に大きな問題はありませんが、手足が小さい、爪が小さいことも特徴となります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
Jansen de-Vries症候群は、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)というパターンで伝わります。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があり、子がもつ遺伝子の変化を親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。本症候群ではお子さんの診断から、両親いずれかが診断された例も報告されています。これらの場合、次の妊娠でこの体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。