MITF
遺伝子名: MITF
疾患名 |
ワールデンブルグ症候群
Waardenburg syndrome, type 2A
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
MITF遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
ワールデンブルグ症候群は1951年に、オランダの眼科医であるWaardenburgにより先天性難聴と眼の症状を合併した症例として初めて報告されました。出生頻度は40,000-50,000出生に1人と推定されています。現在(2024年10月)までPAX3遺伝子を含め6つの遺伝子がワールデンブルグ症候群の原因遺伝子として報告されています。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
聴こえの症状
47%~58%の方で非進行性の先天性難聴(音を脳に伝えることの困難さ)を片耳、あるいは両耳で合併すると報告されています。新生児聴力スクリーニングの結果が参考となります。重度難聴の場合は人工内耳手術が検討されることもあります。聞こえは言葉の発達に重要であるため、気になる症状があれば担当医にご相談ください。
身体の色素(毛髪・目の虹彩・皮膚の色)
髪の一部または全体が白髪になるのは、比較的よく見る症状です。約45%の方で髪の毛の一部、特に前髪の一部分が小児期から白髪となることがあります。また、30歳未満の若年性白髪化がみられます。眉毛や睫毛に低色素(白くなる)となることもあります。
眼にも色素変化がみられます。最も多くみられるのは、虹彩異色症といい、虹彩(黒目の部分)の全部または一部分の色が左右で異なる症状となり、虹彩が青色となることもあります。色の違いはありますが、視力は保たれることが多いです。
皮膚では顔、体、手足に生まれつき、白斑(白く抜ける部分)が多くみられます。
眼にも色素変化がみられます。最も多くみられるのは、虹彩異色症といい、虹彩(黒目の部分)の全部または一部分の色が左右で異なる症状となり、虹彩が青色となることもあります。色の違いはありますが、視力は保たれることが多いです。
皮膚では顔、体、手足に生まれつき、白斑(白く抜ける部分)が多くみられます。
その他の症状
口蓋裂(口の中の屋根が割れた状態)、口唇裂(くちびるが割れた状態)、二分脊椎(脊髄が背骨で覆われていない状態)を合併する方もおられるようです。めまい、ふらつき、などの症状が出る場合もあります。
ワールデンブルグ症候群4型(原因遺伝子:EDNRB遺伝子、EDN3遺伝子、SOX10遺伝子)ではヒルシュスプルング病といい、排便に関連した神経の異常により頑固な便秘を来たし、時に手術が必要となる疾患を合併することがあります。
ワールデンブルグ症候群4型(原因遺伝子:EDNRB遺伝子、EDN3遺伝子、SOX10遺伝子)ではヒルシュスプルング病といい、排便に関連した神経の異常により頑固な便秘を来たし、時に手術が必要となる疾患を合併することがあります。
見られにくいと考えられている症状
成長・発達 ワールデンブルグ症候群では成長(身長や体重)、発達(運動や言語)の症状を合併することは少ないと言われています。外来受診時などの際に定期的に記録をつけていくことが重要となります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。ワールデンブルグ症候群では新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるもの、両親いずれかからの遺伝のもの、どちらかの可能性があります。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます。遺伝性の場合でも、親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合、次の妊娠でワールデンブルグ症候群の体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられ、お子さんでの重症度の予測はできません。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
伴っている症状や、その程度に応じて療育手帳によるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。