GRIN2B
遺伝子名: GRIN2B
疾患名 |
GRIN2B関連神経発達異常症
Intellectual developmental disorder, autosomal dominant 6, with or without seizures
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
愛知県医療療育総合センター中央病院
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 小慢情報センター 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
GRIN2B遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
GRIN2B関連神経発達異常症は2010年にEndeleらにより、2名の患者さんの臨床情報が初めて報告されました。現在まで文献上では100名を超える患者さんが報告されています。今後も遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。運動面に関しては、独りで歩いている方もおりますが、自力での運動が難しい方もいらっしゃいます。言葉でのコミュニケーションも苦手な方が多く、簡単な単語でやりとりをされる方もおりますが、言葉を用いたコミュニケーションが難しい方も少なくないようです。現在のところ、この年齢・月齢でこうゆうことが出来る、という目安となるデータは集まってきていません。てんかんのコントロールが長期間に渡り難しい場合、発達に影響することもあります。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
身長・体重は標準範囲内で大きくなられる方が多いようです。ただし、約20%の方では小頭症(頭の大きさが小さい)を合併すると言われます。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
てんかん
約半数の方でてんかん発作を経験します。初めて発作を経験する年齢は生後すぐ~9歳とばらつきはあります。発作の回数も個人による幅はあり、年に数回の方もいれば、一日に複数回発作を起こす方もいます。また、約半数の方では抗てんかん薬でも、てんかんのコントロールが難しいとされます。頻回の発作では発達への影響も懸念され、神経内科の医師と治療を行うことが重要です。また、普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。可能であれば動画に収めていただくと、診断のヒントとなることもあります。
筋緊張低下(筋力が弱い)
筋緊張低下(筋力が弱い)は約50%の方で合併すると報告されています。筋緊張低下により、のんびりした発達、不安定な呼吸、哺乳障害(飲むのが苦手、時間がかかる)の原因となります。哺乳障害が強い場合、経管栄養(鼻から胃にチューブを入れて、直接栄養する)を要することもあります。
動きの症状
約10%の方では不随意運動といい、自分の意思とは関係なく体が動いてしまう症状を持つと言われます。そのような様子が見られた場合、担当医にご相談ください。
眼の症状
眼の症状として、斜視(黒目の位置がずれる)、眼振(黒目が震える)、屈折異常(近視、遠視、乱視)などが報告されています。また約10%の方は皮質視覚障害という、見ることを司る脳領域でうまく働かず、視力障害を生じることもあります。気になる症状がある場合、眼科の先生と相談するようになります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でこの体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
GRIN2B関連神経発達異常症は小児慢性特定疾病に指定されています。症状によって、医療費助成の対象となる可能性がありますので、担当医にご相談ください。