CSNK2A1
遺伝子名: CSNK2A1
疾患名 |
Okur-Chung syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | - |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
CSNK2A1遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
Okur-Chung neurodevelopmental症候群(OCNDS)は2016年アメリカ コロンビア大学のOkur、ChungらによりCSNK2A1遺伝子に変化を持つ5名の患者さんの臨床情報が報告されたのが、初めての報告になります。現在まで文献では約50名の患者さんが報告されていますが、海外の家族会HPでは200名を超える患者さんが登録されています。今後も遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。特に言葉によるコミュニケーションの苦手な方が多く、簡単な単語でやりとりをされる方もおりますが、言葉を用いたコミュニケーションが難しい方も少なくないようです。発達の目安として、お座り11か月、一人歩き2歳5か月、初めての言葉3歳2か月というデータもあります。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
出生時の体格は標準範囲内の方が多いようです。出生後は、約3割の方で小柄(身長・体重が標準範囲を下回る)と言われています。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
神経の症状
筋緊張低下(筋力が弱い)は軽症例も含めると約2/3の方で合併すると報告されています。筋緊張低下により、のんびりした発達、不安定な呼吸、哺乳障害(飲むのが苦手、時間がかかる)の原因となります。哺乳障害が強い場合、経管栄養(鼻から胃にチューブを入れて、直接栄養する)を要することもあります。また約10%の方では一人歩き開始後も歩行が不安定と言われています。
てんかん
約20-30%の方で、てんかん発作を経験します。発作の回数には個人差があり、生涯で1回だけの方もいれば、複数回発作を起こし、抗てんかん薬を内服されている方もいます。一部の患者さんでは、複数の抗てんかん薬でもてんかんのコントロールが難しいとされます。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。可能であれば動画に収めていただくと、診断のヒントとなることもあります。
睡眠の症状
約30%の方で体内時計の乱れにより、睡眠の症状を合併します。気になる症状があった場合、担当医にご相談ください。
背骨の症状
背骨の症状として側弯症(背骨が横に曲がる)、後弯症(背骨の前後方向の曲がりが強くなりすぎる)が知られています。症状が見られるようなら整形外科の医師と相談します。
その他の症状
胃食道逆流症、慢性的な便秘、歯列不整、眼の症状も比較的頻度の高い症状と言われています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
OCNDSは、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)というパターンで伝わります。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があり、子がもつ遺伝子の変化を親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。また、OCNDSではお子さんの診断から、両親いずれかがOCNDSと診断された例も報告されています。これらの場合、次の妊娠でOCNDSの体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。