CHD7
遺伝子名: CHD7
疾患名 |
チャージ症候群
CHARGE syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
名古屋大学医学部附属病院 小児科
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 小慢情報センター 難病情報センター英語情報(OMIM) 日本語情報 |
CHD7遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
CHARGE症候群は、Coloboma(コロボーマ:眼の症状), Heart defects(心臓の病気), Atresia of choanae(後鼻孔閉鎖:口腔と鼻腔のつながりの問題), Retarded growth and development(成長や発達がゆっくりであること), Genital abnormalities(外陰部低形成性、性ホルモンが不十分であること), Ear anomalies(耳の形の違い・難聴)の頭文字より名付けられました。近年ではCHD7遺伝子に違いがあるものの、CHARGE症候群で見られる典型的な症状を有さない方の報告もあり、CHD7遺伝子関連疾患、という言われ方をすることもあります。頻度は約20,000人に1人程度と考えられており、日本では毎年30~50名程度の患者さんが生まれていると推測されています。
どういう症状があるの?
CHARGE症候群の体質を持つ方では、呼吸や心臓などの重要な臓器の症状や、見たり、聴いたり、嗅いだりする感覚器に症状をもつことが多いと知られています。同じ体質をもつ方のなかで共通した症状はあるものの、種類や程度には個人差があることが知られており、全ての症状を含んでいる訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
心臓
約70%の方で様々な生まれつきの心臓病(先天性心疾患)を持ちます。先天性心疾患があった場合、循環器科の先生と治療方針を相談します。
耳の症状
約80%の方で難聴を持っています。耳の形の違い、左右差が見られることも特徴の1つです。聴覚に対しては、補聴器の装着や言語療法など専門家によるリハビリテーションを行なうことが検討されます。
眼の症状
多くの方で眼の組織が欠けている状態(コロボーマ)が現れます。部位や大きさによって視力に与える影響もさまざまです。小眼球症も眼症状の1つとして知られます。様々な症状が見られるため、適切な眼鏡を使用する、姿勢を工夫する、などの対策が必要となります。定期的に眼科の先生に受診することが重要です。
内分泌(ホルモン)の症状
男の子では小さな陰茎、停留精巣(精巣が陰嚢内にない状態)、女の子では小さな陰唇、子宮の特徴などの症状を約半数の方がもっていると言われます。思春期では、二次性徴の遅れが出やすく、その場合ホルモンの補充療法などが検討されるため、内分泌科の先生と相談していくようになります。
呼吸
約40%の方で、後鼻腔 (鼻のうしろから喉への息の通り道) の狭窄もしくは閉鎖により、呼吸障害を合併することもあります。後鼻腔以外にも気道(息の通り道)のトラブルが多く、必要に応じて気管切開など外科的手術が検討されます。また、感冒時に症状が悪化しやすい方も少なくありません。
発達
多くの方でのんびりしていると言われますが、その程度は様々です。発達の目安としてはいはい1歳8か月、ひとり歩き3歳2カ月と言われています。三半規管が強くないことからバランス感覚が苦手で、頭を高くすることが苦手、背ばいを好む傾向があると言われます。聞こえの影響もあり言葉を使ってのコミュニケーションに課題はありますが、手話やサイン言語を使い積極的にコミュニケーションを行う方は少なくありません。
脳神経
くびから上の感覚や運動つかさどる神経(脳神経)の働きがうまくない方が多く、においが分かりにくい、顔の動きに左右差が出る、飲み食いが苦手、等の症状が知られています。飲み食いが難しい場合には、経鼻チューブを使用したり、状況に応じて胃ろう手術(手術でお腹から胃にチューブを入れる)が必要となる例もあります。
その他:口唇口蓋裂、尿道下裂などの合併症が知られています。
その他:口唇口蓋裂、尿道下裂などの合併症が知られています。
その他
心臓や呼吸など重要な臓器に複数の症状をもつことがあるため、それぞれの症状に対する長期的な健康管理が必要となります。とくに出生後は、心疾患、呼吸、栄養面への対処がとても重要です。また、眼や耳などの感覚器の課題に対して早い時期からの継続的なサポートも発達面においては大切です。
治療はどうなるの?
心臓や呼吸など重要な臓器に複数の症状をもつことがあるため、それぞれの症状に対する長期的な健康管理が必要となります。とくに出生後は、心疾患、呼吸、栄養面への対処がとても重要です。また、眼や耳などの感覚器の課題に対して早い時期からの継続的なサポートも発達面においては大切です。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。今までの報告の多くは、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます(正確な発生頻度は不明です)。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でCHARGE症候群の体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
CHARGE症候群は指定難病および小児慢性特定疾患に登録されています。合併している症状や、その重症度に応じて医療費助成や療育手帳などのサポートを受けることができる可能性があります。社会資源の利用に関しては担当医にご確認ください。