ADNP
遺伝子名: ADNP
疾患名 |
Helsmoortel-van der Aa syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
ADNP遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
Helsmoortel-van der Aa症候群(以降はHVDASと記載します)は、2014年にHelsmoortelらによって初めて報告され、ADNP遺伝子の違いにより発症することを発表しました。世界中から約100例の患者さん情報が報告されており、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
ただし、日本からの報告はほとんどなく、日本人における特徴を明らかにしていくことはこれからの課題と考えられます。
ただし、日本からの報告はほとんどなく、日本人における特徴を明らかにしていくことはこれからの課題と考えられます。
どういう症状があるの?
この体質では心臓の症状や眼の症状、発達に関連する症状など、いくつかの注意する症状が知られています。以下に記した症状は、限られた報告をもとにしているため、すべてを網羅している訳ではありません。また、同じ体質をもつ方のなかでも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、必ず症状を発症するとも限りません。
必要に応じて先回りして検査する必要があるかどうか、何らかの症状がみられたときに体質と関係するものなのか、担当医と相談する際の目安とするものです。
必要に応じて先回りして検査する必要があるかどうか、何らかの症状がみられたときに体質と関係するものなのか、担当医と相談する際の目安とするものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達に関しては個人差もありますが、全体としてのんびりする傾向にあると言われます。運動発達に関しては、平均で1人座り13ヶ月、歩行は2歳半程度で出来る様になると言われています。コミュニケーションに関しては、文章でお話しをできる方がいる一方で、言葉を使ったコミュニケーションが難しい方も報告されています。また、感覚の過敏が課題となる方もいます。これらの発達の特徴に対して、療育(発達支援)が検討されます。
心臓の症状
30〜40%の方が様々な生まれつきの心臓の形の違い(先天性心疾患)を合併すると言われています。心臓超音波検査などを行い、形の違いがある場合には小児循環器専門の医師に診てもらい治療法などを相談します。
眼の症状
約70%の方が眼の症状を合併すると言われています。中でも遠視や斜視が多いようです。眼科の医師に相談し、定期的な眼の評価を行います。
眼の症状
約70%の方が眼の症状を合併すると言われています。中でも遠視や斜視が多いようです。眼科の医師に相談し、定期的な眼の評価を行います。
胃腸(消化器)の症状
約80%の方が胃食道逆流、摂食不良(飲む・食べるが苦手)、便秘、頻回の嘔吐などの胃腸の症状を合併すると言われています。自力での栄養摂取が難しい場合には経管栄養(鼻から胃にチューブを入れ直接胃に栄養剤を入れる方法)などの方法が必要になる場合もあるようです。
骨格の症状
50〜60%の方が、多指症(指が多い)や扁平足、柔らかい関節、脊柱側弯(背骨が横に曲がる)などの症状を合併すると言われています。症状がある場合は整形外科や理学療法士などに相談し、治療や運動のサポートなどを検討します。
内分泌の症状
20〜30%の方に甲状腺機能低下症や成長ホルモン分泌不全などのホルモンの異常を合併すると言われています。定期的に採血を行い、異常がある場合には内分泌を専門とする医師に紹介します。
その他の症状
上記以外に低身長、腎・尿路の異常、難聴、てんかんなども報告されています。
その他の症状
上記以外に低身長、腎・尿路の異常、難聴、てんかんなども報告されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でADNP遺伝子に違いを持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度への登録はありません。伴っている症状や、程度に応じて療育手帳によるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。