診断のない方へ
診断がないとは?
- 成長がゆっくり
- 発達がのんびり
- 体つきが小さい
- 心臓の形が違う
- けんれんを起こしやすい
など症状は多彩ですが、生活に影響する程度は、同じ症状でもひとり一人異なります。
いくつかの症状が生まれつきある場合は、先天異常症候群の可能性があります。
なぜ診断がつかないの?
遺伝子の変化が原因となる疾患は6000種類以上も存在しており、
すでに知られている疾患についても、
- 個人差が強く、知られている疾患であることにきづけない
- 成長段階にあるため、診断の鍵となる症状が顕在化していない
- 検査方法が、原因をさがすのに十分ではない
- まだ、誰も知らない新しい疾患であるためきづかない
場合は診断がつかないことが少なくありません。
子どもが成長発達するなか、何か違うと感じたとき
これからどのように大きくなってくれるのか、
まだみられない症状はこれから起こるのかなど
先を見通せない不確実な状態に、行き場のない心配を抱くことあるかもしれません。
原因を知らなくても、子どものありのままを大切にしたいという思いと、
原因を知ることで、これからのことを考えたいという思いは、
どちらも尊重されるもので、診断に対する考え方は人ぞれぞれです。
どのような検査があるの?
もし、先天異常症候群が疑われていて、原因を知りたい場合は、
「わからない」病気を「わかる」に変えるための手立てとして、ゲノムを調べる、という方法もあります。
わたしたちの設計図であるゲノム情報は、ひとり一人少しずつ違っていて、その人らしさを決めるものですが、
そうしたゲノムの一部の違いが、病気の原因となっていることがあるのです。
ゲノムを調べる技術は日進月歩です。
赤ちゃんから成人まで様々なライフステージで、
診断をめざす研究が、診断がない方を対象におこなわれています
ご希望の場合には、担当医や遺伝カウンセリング部門をお尋ねください。
赤ちゃんの「わからない」病気を「わかる」に変えるために。
ご存知ですか?ゲノム解析という選択。
れでも、診断がつかないときには
診断がすぐにつくとは限りません。長いこと結果を待つかもしれません。
診断がない場合でも、
適切な検査や治療を受け、健康を保ち、必要に応じて発達支援を受けることで、
安定した生活を送ることができている方は少なくありません。
いまの状況を整理し、一緒に考えてもらえる仲間がいれば、心強く感じられるかもしれません。
医療・社会資源を活用しながら、自分らしい道のりを歩んでいかれることを願っています。
冊子『診断がつかないまま歩むということ』
生まれつきもっている体質は、「その人らしさ」をあらわす個性のひとつです。
ときに疾患が含まれていることもありますが、その原因を明らかにすることは必ずしも簡単ではありません。
この小冊子は、そうした原因がわからないお子さんとご家族が置かれている状況や思いを共有するためのものです。
みなさんが、“いま”とどのように向き合い、“これから”のために、何を想定しておけばよいのか、その考え方を整理してみました。
診断がつかないままの生活が続くなかでお子さんとご家族みんなが心も体も健康的に過ごせるよう、お手伝いできればと思っています。
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