ZC4H2
遺伝子名: ZC4H2
疾患名 |
Wieacker-Wolff syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
ZC4H2遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
ZC4H2遺伝子異常症は、1985年にWieackerらにより6名の患者さんの臨床情報が報告され、2013年に原因遺伝子としてZC4H2遺伝子が同定されました。現在まで約100名の患者さん情報が報告されています。まだ情報は限られていますが、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
呼吸
この体質をお持ちのお子さんでは呼吸症状へ注意が必要です。出生後すぐに呼吸が苦手で集中治療を要する、呼吸することを忘れてしまう・呼吸が止まってしまう(無呼吸)、肺炎を繰り返す方がいます。自宅では睡眠時に呼吸が止まっていないか確認いただき、風邪をひいた際などはかかりつけ医療機関で相談することが重要です。
発達
ほとんどの方で発達はのんびりしていると言われますが、その程度は様々です。関節が動かしにくい、筋力が弱い、足が動かしにくくなる、などの症状から一人で歩くことが難しい方も多いと報告されています。言葉の発達ものんびりしており、全くお話ができない訳ではありませんが、言葉を使ったコミュニケーションに課題がある方が少なくありません。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されます。
神経
成長の過程で足の動きが固くなっていく(痙直:けいちょく)方が半数以上で見られます。足が動かしにくくなるため、歩行へも影響します。継続的にリハビリを行うことが重要となります。
また、けいれん発作は約30%の方で見られると報告されています。気になる動きなどがある場合は担当医にご相談ください。余裕があればスマートフォンなどで記録いただけると評価の参考になります。
また、けいれん発作は約30%の方で見られると報告されています。気になる動きなどがある場合は担当医にご相談ください。余裕があればスマートフォンなどで記録いただけると評価の参考になります。
関節拘縮(関節が固まりうまく動かせないこと)
80%を超える方で産まれつき、関節拘縮を持っていると言われます。関節が動かしにくいことにより運動発達への影響が予想されます。リハビリや日常生活でのマッサージなどで改善を目指していくようになります。
筋緊張低下(筋力が弱い)
多くの方で筋緊張低下を有していると報告されています。筋緊張低下があると発達に影響する、哺乳・食事がうまくない、等の症状と関連します。
骨の症状
骨の症状を約半数の方で合併すると言われ、扁平足、脊柱側弯(背骨が横に曲がる)がよく報告されています。側弯は成長期にも大きな課題となるため、定期的な外来受診の際に確認します。
成長
身長が小柄なお子さんは約30%と報告されています。外来受診時に成長の記録をつけていくことが重要です。
眼の症状
斜視(黒目が横にずれている)、屈折異常(近視・遠視・乱視)を30%以上の方で合併すると言われています。小児期は“見る力”が育つ時期でもありますので、定期的に眼科の先生と相談するようになります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は男女で構成の違うX染色体(女性:X染色体が2本、男性:X染色体とY染色体が1本ずつ)に関連したX連鎖遺伝というパターンで伝わることが知られています。起こった遺伝子の違いが起こすたんぱく質への影響力により、男女で重症度の差があります。女性で強い症状を起こす遺伝子の違いを男性が持っていた場合、産まれてくることが難しいようです。この場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものが多く、誰のせいでもありません。新生変異における次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じ程度と考えられます。一方、男性で症状を起こす遺伝子の違いを女性が持っていた場合には無症状~強い症状まで様々が、男性患者さんの母親が同じ遺伝子の違いを持っている可能性(保因者)があります。母親が保因者の場合、50%の確率で違いを持った遺伝子がお子さんに伝わりますが、症状の程度は症例や性別により様々です。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
小児慢性特定疾病や指定難病には含まれておりませんが、伴っている症状や、その程度に応じて療育手帳などによるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。