TRPM3
遺伝子名: TRPM3
疾患名 |
Neurodevelopmental disorder with hypotonia, dysmorphic facies, and skeletal anomalies, with or without seizures
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
TRPM3遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
TRPM3遺伝子異常症は、2019年にDymentらによりTRPM3遺伝子に変化を持つ8人の患者さんの臨床情報が初めて報告されました。その後、現在まで50名近くの患者さんの情報が報告されています。最初の患者さんが報告されてから時間が経っておらず情報は限られていますが、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていると言われますが、その程度は様々です。2歳以上の方を対象とすると半数以上の方でひとり歩きが可能となっており、その場合は平均3歳で歩けるようになったとのことです。お話に関しては苦手な方が多く、2歳以上でもまだ言葉が出てこない方が約半数と報告されています。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
神経
約半数の方でてんかん発作を持ち、初めて発作を経験する平均年齢は3歳4カ月(7か月~7歳の間)と報告されています。多くの方で、抗けいれん薬で発作へ対処することが可能となりますが、中にはお薬での発作コントロールが難しい方も報告されています。お子さんを見ていく中で、気になる動きなどがある場合は担当医に相談ください。気になる動きをスマートフォンなどで記録できると診断のヒントになります。
行動面
視線が合いにくい、同じような動きを繰り返したがる、感覚過敏などの特徴を持っている方が多いようです。お子さんが受け取りやすいコミュニケーション手段や、感覚を一緒に考えていくことが重要となります。
眼の症状
斜視(黒目が横にずれている)、眼振(眼が揺れる)、屈折異常(近視・遠視・乱視)を半数以上の方で合併すると言われています。小児期は“見る力”が育つ時期でもありますので、定期的に眼科の先生と相談するようになります。
骨の症状
骨の症状を約半数の方で合併すると言われ、扁平足、脊柱側弯(背骨が横に曲がる)がよく報告されています。側弯は成長期にも大きな課題となるため、定期的な外来受診の際に確認します。
見られにくいと考えられている症状
成長 多くの方で成長(身長や体重)は周りのお子さんと遜色ないと言われています。外来受診時に成長の記録をつけていくことが重要となります。 聴力 遺伝情報(染色体や遺伝子)に違いを持っている方では耳の聞こえの症状を持ちやすいことが知られていますが、TRPM3遺伝子異常症では合併しやすいとは言われていません。日常生活の中で聞こえの症状で気になるところがあれば、担当医に相談してください。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でTRPM3遺伝子に違いを持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
伴っている症状や、その程度に応じて療育手帳によるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。