TRIM8
遺伝子名: TRIM8
疾患名 |
Focal segmental glomerulosclerosis and neurodevelopmental syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
北海道立子ども総合医療・療育センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 小慢情報センター 難病情報センター英語情報(OMIM) 日本語情報 |
TRIM8遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
巣状分節性糸球体硬化症および神経発達症候群(Focal segmental glomerulosclerosis and neurodevelopmental syndrome: FSGSNEDS)は、のんびりした発達と腎機能障害を特徴とする疾患です。2016 年に日本の酒井先生らによって初めて報告されました。現在まで国内外から20例以上の報告があり、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。現在まで報告数が少なく、この年齢・月齢でこうゆうことが出来る、という目安となるデータはまだ集まってきていません。2歳以上のお子さんの中には歩けている方も複数名報告されています。後述するてんかんのコントロールが長期間にわたって難しい場合、発達に影響することもあります。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
腎臓の症状
この遺伝子に変化をお持ちの方では腎臓の症状に注意が必要です。生後早期~小児期後期にタンパク尿やネフローゼ症候群(大量のタンパク尿、全身の浮腫みなど)を認めます。そのため、一番初めに気づかれる症状が腎臓の症状の方もいらっしゃるかもしれません。腎臓の状況を調べる腎生検検査では巣状分節性糸球体硬化症の所見を示すことが知られています。腎機能障害の経過には非常に幅が大きく、一時的にタンパク尿をみとめる方から、腎臓の機能が非常に悪くなり腎臓移植が必要となる方もいます。腎臓の症状に関しては、小児科や腎臓専門の先生としっかり相談していくことが重要です。
てんかん
多くの方でけいれん・てんかん発作を発症すると報告されています。初回のけいれんは1歳~4歳までが多いと言われています。発作に関しては、1回だけの熱性けいれんの方、抗けいれん剤がよく効く方、複数の抗けいれん薬でも加療が難しい方まで様々です。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。
その他の症状
哺乳・摂食障害(飲む食べるが苦手)、胃食道逆流、成長障害(身長・体重・頭の大きさが小柄)、指趾の特徴、遠視などの眼科的所見などが比較的頻度の高い合併症として報告されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でFSGSNEDSの体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
TRIM8遺伝子異常症:FSGSNEDSとして指定難病や小児慢性特定疾患には登録はされていませんが、巣状分節性糸球体硬化症として小児慢性に、一次性ネフローゼ症候群として指定難病に登録されており。伴っている症状や、その程度に応じ何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。