SRCAP
遺伝子名: SRCAP
疾患名 |
フローティングハーバー症候群
Floating-Harbor syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
愛知県医療療育総合センター中央病院
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
SRCAP遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
フローティングハーバー症候群は1973年に初めての患者さんが報告され、2012年にSRCAP遺伝子が原因遺伝子として報告されました。現在まで、日本人の患者さんも含め文献として約100名の患者さんが報告されており、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。フローティングハーバーという疾患名は最初に報告した2施設の病院名に由来しています。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
成長
フローティングハーバー症候群の体質を持つ多くのお子さんでは、成長障害(身長・体重が小さい)が特徴となります。お母さんのお腹にいるときから、「小さめですね」などの指摘があったかもしれません。出生時の身長・体重は標準下限くらいで、その後の成長ものんびりしています。成人期の最終的な身長は140-155cmと言われています。定期的な受診や健診の中で成長の記録をつけていくことが重要です。
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。運動面に関しては、概ね月齢・年齢通りに進んでいくようで、多くの方で歩くことは可能となります。一方、コミュニケーションは苦手な方が多く、特に言葉を用いたコミュニケーションに強く影響が出るようで、年齢を重ねても意味のある言葉はでないかもしれません。お話ができる方も、滑舌が悪く周りが聞き取りにくい場面も少なくないかもしれません。ただし、少なくとも退行(できていたことが出来なくなる)はこの症候群ではありません。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されます。
行動面の特徴
乳幼児期には癇癪、幼児期~学童期などでは落ち着きのなさは見られやすい症状となります。これらの症状は成人期に向かうにつれ改善していくとは言われておりますが、気になる場合は担当医にご相談ください。
骨の症状
骨の症状は比較的見られやすい症状となります。成長と関連しておりますが、骨の成長が通常より遅い方が多いと言われます。その他に、小さい手、指の関節が伸び切らない、小さい鎖骨、脊椎側弯症(背骨が横に曲がる)、肘関節の脱臼などが知られています。気になる症状があれば整形外科の医師と相談するようになります。
けいれん
約10%の方でけいれん発作を経験すると言われます。発作のタイプには様々あるため、お子さんが気になる動きをしているようなら担当医にご相談ください。可能であれば、動画に収めていただくと、診断のヒントになります。
お腹の症状
お腹の症状も合併しやすいものとして知られています。胃食道逆流症は時に重症となり、内服薬などの治療が必要となることもあります。また慢性的な便秘も健康面の課題となるかもしません。
その他の症状
耳の聞こえ、眼の症状(斜視、近視・遠視・乱視などの屈折異常)、歯の症状、思春期の訪れが早い、なども起こる可能性のある合併症として報告されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
フローティングハーバー症候群は、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でこの体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
小児慢性特定疾病や指定難病には含まれておりませんが、伴っている症状や、その程度に応じ何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。