SOX9
遺伝子名: SOX9
疾患名 |
屈曲肢異形成症
Campomelic dysplasia
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
SOX9遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
屈曲肢異形成症は、骨や軟骨がうまく作られない骨系統疾患という概念に含まれ、大腿骨などの長管骨(長い骨)が産まれつき曲がっていることを特徴とします。初めて報告されたのは1947年で、1971年に屈曲肢異形成症としての疾患概念が確立しました。その後、1994年にSOX9が原因遺伝子であることが分かりました。現在まで100名を超える患者さんの情報が報告されており、今後報告数が増えることも期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
呼吸
この体質をお持ちのお子さんでは出生時から呼吸症状へ注意が必要です。歴史的には、空気の通り道(気道)が非常に狭いため、新生児期に多くのお子さんが命を落としていました。医療技術の進歩により新生児期を乗り越えることができるようになってきましたが、その後も呼吸することを忘れてしまう・呼吸が止まってしまう(無呼吸)、肺炎を繰り返すなど、呼吸の症状には注意が必要です。自宅では睡眠時に呼吸が止まっていないか確認いただき、風邪をひいた際などはかかりつけ医療機関で相談することが重要です。
頚椎不安定性(首を支える骨が弱い)
屈曲肢異形成症の体質を持つ方では、頚椎不安定性が非常に強く、頚椎がずれやすいことが知られています。頚椎を含めた背骨の内側には大事な神経である脊髄が通っています。頚椎不安定性のため頚椎がずれた場合、ずれが骨が脊髄に当たることになり神経の症状が出る可能性があります。症状としては手足が動かしにくいや、場合によっては呼吸が止まる、などのこともあります。整形外科や脳外科の先生の外来受診が重要になります。
外性器
屈曲肢異形成症の原因遺伝子であるSOX9遺伝子は胎児期の男性化に関わることが知られています。多くの男性の染色体は46,XYですが、46,XYの染色体をもつ屈曲肢異形成症の方の約75%で何らかの外性器の症状(おちんちんが小さい、性別決定が未熟、女性型の外性器など)が出ることが知られています。
頚椎不安定性以外の骨の症状
頚椎以外の骨の症状としては診断名でもある長管骨が曲がっており、また短いことが特徴となります。今までの報告では、曲がりがどんどん悪くなるという記載は見られません。また、SOX9遺伝子の違いがあっても、骨が曲がっていない方もいます。股関節を含めた関節脱臼や、膝蓋骨が小さい、足関節の動かしにくさ、成長につれ脊椎側弯症(背骨が横に曲がる)が見られる方もいます。
発達
発達に関しては問題ない方も複数名報告されていますが、のんびりしている方もおりその程度は様々です。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
骨の症状のため身長は小柄な方が多いと報告されています。
その他の症状
口蓋裂(産まれつき口の中の屋根が割れている)、繰り返す中耳炎などを契機とした耳の聞こえにくさ、屈折異常(近視・遠視・乱視)などの眼科合併症、などの合併が知られています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でSOX9遺伝子に違いを持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。