SLC9A6
遺伝子名: SLC9A6
疾患名 |
クリスチャンソン症候群
Christianson syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
SLC9A6遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
発達遅滞は出生児の約2~3%に見られ、男児の方が若干多いことが知られています。これは男女において構成の違うX染色体に位置する遺伝子に違いが起こった場合、男児の方が影響を受けやすくなるためです。発達遅滞を持つ男児の8-12%はX染色体に位置する遺伝子の違いを原因としており、Christianson(クリスチャンソン)症候群の原因遺伝子であるSLC9A6遺伝子もX染色体に位置しています。
Christianson症候群(以降はCSと記載します)は、1999年にChristiansonらにより初めて報告され、2008年に原因遺伝子としてSLC9A6遺伝子が突き止められました。現在まで約100例が報告されており、網羅的遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
Christianson症候群(以降はCSと記載します)は、1999年にChristiansonらにより初めて報告され、2008年に原因遺伝子としてSLC9A6遺伝子が突き止められました。現在まで約100例が報告されており、網羅的遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
多くの方でのんびりしていると言われますが、その程度は様々です。自立歩行は平均より1-2年遅れるという報告はありますが、一方で10歳までひとり歩きが出来ない方の報告もあります。また、歩行も不安定で何らかのサポートを要する方が少なくありません。おしゃべりは苦手であり、会話が可能な成人の方もいるようですが、言葉を使ったコミュニケーションができない方も少なくありません。発達を見守る中、療育(発達支援)が提案されることもあります。
けいれん
ほぼ全員の患者さんで、けいれん(てんかん)を合併し、発症年齢の典型例は3歳前と言われています。内服薬でコントロールできる方もいますが、中にはけいれんのコントロールが非常に難しく、最終的に発達に影響を及ぼす方も報告されています。何か気になる動きがあれば、担当医へご相談ください。
成長
CSの体質を持つ方では出生後から頭が小さいことが特徴の一つと言われます。また筋力・筋緊張も弱い方が多いため、その影響により哺乳・食事量が少なく体重の増えに課題がある方もいます。定期的な受診の中で成長の記録をつけていくことが重要となります。
眼の症状
産まれつきの斜視(黒目の位置がずれていること)に注意が必要です。眼を動かす神経がうまく使えないため斜視になっている方もいるようです。定期的な眼科受診が提案されます。
消化器症状
哺乳・食事が苦手なことに加えて、胃食道逆流症や便秘の合併が多いと報告されています。気になる症状がありましたら、担当医へご相談ください。
感染
呼吸器の感染症にはかかりやすいかもしれません。日々の感染予防を心がけ、感染時には医療機関へ受診するタイミングを慎重に検討する必要があります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は男女で構成の違うX染色体(女性:X染色体が2本、男性:X染色体とY染色体が1本ずつ)に関連したX連鎖遺伝というパターンで伝わることが知られています。X染色体にあるSLC9A6遺伝子は女性で2個、男性で1個持っています。SLC9A6遺伝子がうまく働かなくなった場合、女性だともう片方のSLC9A6遺伝子がある程度その機能を補ってくれるため、女性より男性で症状が強く出やすくなります。SLC9A6遺伝子異常症は新生変異(偶然に起きたもので誰のせいでもない)、男性患者の母親が遺伝子の違いを持っている場合(保因者)があります。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は一般頻度と同じと考えられます。一方、母親が保因者の場合、50%の確率で違いを持った遺伝子がお子さんに伝わりますが、症状の程度は症例や性別により様々です。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
伴っている症状や、その程度に応じて療育手帳によるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。