SETD2
遺伝子名: SETD2
疾患名 |
Luscan-Lumish syndrome
|
---|---|
登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
|
ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 |
SETD2遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
Luscan-Lumish症候群は、2012年に初めてその臨床症状が報告されました。この時点では原因遺伝子はまだ特定されていませんでしたが、2015年になってSETD2遺伝子が原因であることが判明しました。現在まで約50名の患者さんが報告されています。今後、遺伝子解析技術の進歩により、さらに情報が集まり、この症候群に関する理解も深まっていくと期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。例えば、寝返り8か月頃、ひとり歩き1歳6か月頃という報告もありますが、全体の平均的な発達の時期については、まだはっきりと分かっていません。言葉は苦手な方が多く、最初の言葉が出るのは3歳頃、文章でお話できるようになるのは6歳以降と言われています。発達を見守る中で療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
生まれたときの身長・体重は標準範囲内の方が多いようです。ただし、頭が大きめ(大頭症)の方もいらっしゃいます。小児期は体がしっかりしているお子さんが多いですが、年齢とともに目立ちにくくなります。ただし、全体としては平均より大きい方が多く、肥満には注意が必要です。定期的に成長記録をつけることが重要となります。
神経の症状
半数以上の方で筋緊張低下(筋力が弱い)を合併し、発達にも影響しています。けいれんの頻度は高い可能性があり、発作のパターンも様々です。けいれんに関しては内服薬で発作を抑えることができる可能性が高いようです。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。気になる動きを動画に収めていただくと、診断のヒントとなることもあります。
眼の症状
斜視(黒目の位置がずれる)、近視・遠視など、半数以上の方で何らかの眼の症状を持っていると言われます。小児期は“見る力”が育つ時期でもありますので、定期的に眼科の先生と相談することをおすすめします。
ホルモンの症状
様々な内分泌(ホルモン)の症状が見られます。思春期早発症:思春期が通常よりも早く訪れる(小学1年生頃まで)方、甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモン(体の代謝をあげるホルモン)の分泌が悪い、成長ホルモンの分泌が悪い、など様々です。気になる症状があれば、担当医へご相談ください。
骨の症状
脊椎側弯症(背骨が横に曲がる)を合併する方もいます。定期的に確認を行い、気になる症状があれば、整形外科の医師と相談するようになります。
その他の症状
感染症にかかりやすい、難聴、胃食道逆流症、便秘、睡眠時無呼吸症候群、の合併頻度が高い可能性が指摘されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わります。ほとんどが新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じ程度と考えられます。ただし、遺伝子の変化により発症する症例では、親子間で症状の種類や重症度が大きく異なる場合があり、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合、次の妊娠でLuscan-Lumish症候群の体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられ、お子さんでの重症度の予測はできません。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。