SATB2
遺伝子名: SATB2
疾患名 |
グラス症候群
Glass syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
SATB2遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
グラス(Glass)症候群は、1989年にGlassらにより初めて報告されました。当初は2番染色体の違いが原因とされており、その後の研究により2番染色体に存在しているSTAB2遺伝子が原因として特定されました。現在まで約100例が報告されており、網羅的遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
多くの方でのんびりしていると言われますが、その程度は様々です。一人歩きは平均20.9カ月(11-35カ月)、お話は19.8カ月(13-42カ月)と報告されています。ただし、発達は運動面よりコミュニケーション面で影響を受けやすいと言われており、大きくなっても言葉によるコミュニケーションが難しい方も少なくありません。発達を見守る中、療育(発達支援)が提案されることもあります。
歯の症状
約70%の方で歯に何らかの症状があると言われています。大きな前歯(35%)、歯並びが悪い(35%)、歯の本数が足りない(15%)、歯の生え始めが遅い(10%)、前歯間の隙間(5%)など症状は様々であり、定期的に歯科に通院することが重要となります。
口蓋裂
約半数の方で口蓋裂:産まれつき口の中の屋根が割れている、を合併しています。既に診断されている方は専門診療科に通院中のことと思います。口蓋裂をお持ちの方は中耳炎に注意が必要となります。出生時に明らかでないパターン(粘膜下口蓋裂と言います)のこともあり、その場合は滑舌が悪い、食べたものが鼻から出てくる、などの症状があります。気になる症状がある場合は担当医にご相談ください。
成長
身長や体重、頭の大きさなど成長面は小柄な方が多いと言われています(約30%)。定期受診の際に成長の記録をつけていくことが重要となります。
骨の症状
骨の症状を約30%の方で持っていると言われます。鳩胸・漏斗胸など胸の骨における形の違いや、側弯症など背骨の曲がりなどの頻度が高いと言われています。
けいれん
約10%の方でけいれん・てんかんを合併すると言われています。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。可能であれば、その動きをスマートフォンなどの動画に納めていただくと診断のヒントとなります。
眼の症状
斜視(黒目の位置がずれている)、屈折異常(近視・遠視・乱視など)を合併する方が約10%と言われています。定期的に眼科へ受診することが重要となります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。今までの報告はすべて、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます(正確な発生頻度は不明です)。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でグラス症候群の体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
伴っている症状や、その程度に応じて療育手帳によるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。