PUF60
遺伝子名: PUF60
疾患名 |
Verheij syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
北海道立子ども総合医療・療育センター
東京都立小児総合医療センター
愛知県医療療育総合センター中央病院
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 |
PUF60遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
Verheij症候群は、2009年にオランダで2人のお子さんで診断されたのが、最初の報告です。お二人とも「8番染色体」の一部が欠けている状態(欠失)でした。その後、2016年には、欠けている部分に含まれるPUF60遺伝子が、原因となっていることが分かりました。現在まで約100名の患者さんが報告されています。今後、遺伝子解析技術の進歩により、さらに情報が集まってくることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。運動発達の目安は、お座り12~18か月、ひとり歩き2歳~4歳と言われます。また、言葉も苦手な方が多く、初めての言葉は2~3歳以降であり、文章でお話できるようになるには時間がかかります。発達を見守る中で療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
体格は小柄な傾向にあり、大人になった時の体格に関するはっきりしたデータはありませんが、平均よりも低めになる方が多いと言われています。定期的に成長記録をつけることが重要となります。
骨の症状
骨の症状は65-80%の方で合併すると言われており、脊椎側弯症(背骨が横に曲がる)、関節過伸展(関節が軟らかすぎる)などがあります。気になる症状がある場合は整形外科の医師と相談します。
心臓の症状
約半数の方で心室中隔欠損症・心房中隔欠損症(心臓の壁に穴が開いている)などの心臓の合併症を認め、手術などの治療が必要となる方もいます。心臓の合併症がある場合、循環器科の医師と治療方針を相談します。
眼の症状
約半数の方で何らかの眼の症状を持っていると言われます。コロボーマ(網膜や黒目の一部が欠けている)を合併する方もおり、眼が見えにくい、視野の一部が欠けている、まぶしく感じる、などの症状を伴うことがあります。定期的に眼科を受診することが重要となります。
腎臓の症状
約25%の方で産まれつきの腎臓の形の違いを持っている方がいます。一度は、お腹の超音波検査での評価も検討されます。気になる症状があれば、担当医へご相談ください。
その他の症状
感染症にかかりやすい、難聴、アトピー性皮膚炎、慢性的な下痢の合併頻度が高い可能性が指摘されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わります。ほとんどが新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じ程度と考えられます。ただし、遺伝子の変化により発症する症例では、親子間で症状の種類や重症度が大きく異なる場合があり、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合、次の妊娠でVerheij症候群の体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられ、お子さんでの重症度の予測はできません。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。