PPP1CB
遺伝子名: PPP1CB
疾患名 |
ヌーナン症候群類縁疾患
Noonan like disorder with loose anagen hair 2
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
PPP1CB遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
2016年Grippらにより初めて報告されました。臨床所見の特徴から“Noonan syndrome-like disorder with loose anagen hair 2(以下NSLH2と記載します)”とも言われます。直訳すると、“薄く細い毛髪を持つヌーナン症候群に類似した症候群”となり、ヌーナン症候群に類似した特徴を持つ症候群として報告されました。 現在まで約20名の方が報告されていまが、診断なされているものの、論文として報告されていない方も複数いらっしゃると考えられます。今後、更に患者さんの情報が集まってくることも期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、起こりうるすべての症状を網羅している訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ず持つとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
多くの方で発達はのんびりしていると言われますが、最近では発達面に遅れを認めない成人の報告もあります。お育ちを確認する経過の中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
70%の方で年齢とともに低身長が顕在化してくると言われます。現状、低身長に対する治療法はありませんが、今後の研究成果により低身長への対策が見つかってくる可能性もあります。
髪の毛
薄く、伸びるのが遅く、きれやすい髪質は共通した特徴の1つです。少しずつは伸びていくようですが、髪の毛を長く保つことは難しいかもしれません。美容医療(medical cosmetics)も将来的には検討されるかもしれません。
皮膚
乾燥、しみなど皮膚症状を約70%で合併します。毛髪・皮膚症状が強い場合、皮膚科に相談します。
心臓
何らかの心疾患を持つ方が60%程度と報告されています。心臓の評価を行ったことがない方は、担当医と相談してください。
停留精巣(陰嚢内に精巣が下りていない状態)
男の子の30%の方で合併していると言われます。健診で確認されることが多いですが、気になる場合は担当医へ相談してください。
腎臓
25%の方で腎臓に形の違いを認めます。腹部エコー検査を実施したことがなければ、担当医へ相談してください。
眼の症状
約20%の方で眼科合併症を認めます。斜視(眼がずれていること)や眼振(眼がユラユラする)、屈折異常(近視・遠視・乱視など)が含まれます。3歳くらいまでに一度、眼科の先生に診ていただきます。
てんかん
約10%の方でけいれんを認めます。気になる動きがあれば担当の先生にご相談ください。余裕があればその動きをスマートフォンの動画機能に納めていただくと、診断のヒントになることもあります。
その他の症状
鼠径ヘルニア(足の付け根がポッコリふくれること)、脊柱側弯(背骨が曲がること)、頚椎異常、頭蓋骨縫合早期癒合症(頭の形の変形や顔の左右差で気づかれることがあります)なども報告されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質の多くは常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの方は新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じ程度と考えられます。ただし、遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があり、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない可能性があります。また、1例遺伝子から確認された親子例の報告があります。この場合、次の妊娠でNSLH2の体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
合併している症状や、その程度に応じて療育手帳などによるサポートを受けることができる可能性があります。社会資源の活用については担当医にご確認ください。