PHF6
遺伝子名: PHF6
疾患名 |
Borjeson-Forssman-Lehmann syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
|
ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
PHF6遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
この症候群は、1962年にBörjesonらによってはじめて患者さんの症状が報告され、2002年に原因遺伝子としてPHF6遺伝子が同定されました。2024年までに世界で100名程度の患者さんの情報が報告されており、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが予想されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ず認めるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。1歳過ぎで歩行が可能になった方もいますが、7歳時点でまだ歩けない人もいます。1歳半で言葉が出始めた方もいれば、成長してもお話が難しい方もいます。自閉的な特徴や食べ物への執着・食欲亢進、攻撃性などの行動がみられることがあります。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
体格はやや小柄な方から平均的な方まで様々です。肥満になる方が多いという報告もあります。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
耳の症状
滲出性中耳炎を繰り返しやすく耳鼻科的な処置が必要になることがあります。難聴を合併する方もいます。耳鼻科のかかりつけ医をもつことを勧めます。
眼の症状
約80%の方に屈折異常や斜視、網膜色素脱失や変性などの眼科領域の合併症がみられます。屈折異常には適切な眼鏡を使用するなどの対策が必要になることもあり、定期的に眼科の先生に受診することが重要です。
皮膚の症状
にきびやひっかき傷、術後の創部にケロイド瘢痕が生じやすいことが報告されています。ゆびの線維腫(しこり)についても報告があります。女性では線状の色素沈着が見られる場合が多いです。
歯の症状
歯列不正や歯数不足、エナメル質欠損、歯のサイズや形状の違いといった症状がみられます。かかりつけの歯科を探して定期的に通うようにしましょう。
内分泌(ホルモン)の症状
男の子では小さな陰茎、停留精巣(精巣が陰嚢内にない状態)、女性化乳房、女の子では小さな陰唇、膣口閉鎖、希少月経や無月経などの症状が報告されています。思春期では、二次性徴の遅れが出やすく、その場合ホルモンの補充療法などが検討されるため、内分泌科の先生と相談します。
骨の症状
殆どの方に合指(趾)症などゆびの特徴があります。多くの方に指の短さや形・向きの特徴がみられます。
その他の症状
成長ホルモン分泌不全性低身長、甲状腺機能低下症、腎臓の合併症、脳の形態の違い、てんかんなどが知られています。がんが発症しやすい体質なのかはまだ分かっておらず、がんの定期チェックについては提案されていません。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は男女で構成の違うX染色体(女性:X染色体が2本、男性:X染色体とY染色体が1本ずつ)に関連したX連鎖遺伝というパターンで伝わることが知られています。
男性では多くの場合、症状のない~軽症のお母さん(保因者と言います)からPHF6遺伝子の変化を受け継いでいます。この場合、次の妊娠・出産で同じ体質をもつお子さんを授かる確率は男児で50%、女児では保因者となる確率が50%となります。
女性では多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものと報告されています。この場合、次の妊娠・出産でBörjeson-Forssman-Lehmann 症候群をもつお子さんを授かる確率は、一般頻度と同等程度と考えられます。稀に、お母さんもPHF6遺伝子の変化を持っていることがあります。この場合次の妊娠・出産で同じ体質をもつお子さんを授かる確率は性別に関わらず50%となります。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
男性では多くの場合、症状のない~軽症のお母さん(保因者と言います)からPHF6遺伝子の変化を受け継いでいます。この場合、次の妊娠・出産で同じ体質をもつお子さんを授かる確率は男児で50%、女児では保因者となる確率が50%となります。
女性では多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものと報告されています。この場合、次の妊娠・出産でBörjeson-Forssman-Lehmann 症候群をもつお子さんを授かる確率は、一般頻度と同等程度と考えられます。稀に、お母さんもPHF6遺伝子の変化を持っていることがあります。この場合次の妊娠・出産で同じ体質をもつお子さんを授かる確率は性別に関わらず50%となります。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
小児慢性特定疾病や指定難病には含まれておりませんが、伴っている症状や、その程度に応じて療育手帳などによるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。