PBX1
遺伝子名: PBX1
疾患名 |
Congenital anomalies of kidney and urinary tract syndrome with or without hearing loss, abnormal ears, or developmental delay
|
---|---|
登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
|
ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 |
PBX1遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
PBX1遺伝子の変化と病気との関係とが初めて明らかとなったのは2017年のことです。このときには、生まれつきの腎臓の症状がある方に対して実施した遺伝学的検査(染色体検査・遺伝子検査)から、原因遺伝子として報告されました。腎臓の症状を持つ方で最初の報告が行われましたが、腎臓だけでなく体の色々な部分に症状が出ることも分かってきました。これまでに報告されている患者さんは世界で数十人程度とされています。染色体や遺伝子を詳しく調べる検査技術が進んできているため、今後も診断される方は増えていくと考えられています。
どういう症状があるの?
この体質をお持ちの方では、成長や発達、体の特徴などについて、気をつけたほうがよい特徴や症状がいくつか知られています。以下にご紹介する内容は、限られた報告や研究をもとにまとめられた情報で、すべての症状を網羅したものではありません。あくまで「この体質の方にみられることがある傾向」としてご覧ください。また、同じ体質を持っている方でも、症状のあらわれ方や程度には個人差があります。すべての方に同じような症状が出るわけではありません。この情報は、「どんな症状が出る可能性があるのか」を事前に把握しておくためや、実際に見られた症状がこの体質と関係しているかを医師と一緒に考える際の参考として役立ててください。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はゆっくりなことが多いと言われていますが、その程度には個人差があります。お座りは9〜18か月ごろ、一人で歩き始めるのは18〜36か月ごろと言われていますが、この時期を過ぎてもまだ座れなかったり、歩けなかったりするお子さんもいます。また、言葉の発達もゆっくりなことが多く、初めて言葉を話すのが18〜36か月くらいになることもあります。言葉で気持ちを伝えるのが得意でないお子さんも少なくありません。一方で、発達に大きな問題が見られない方もいるようです。お子さんの発達を見守りながら、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長(身長・体重・頭の大きさ)
身長や体重はやや小柄となりますが、大きく標準から外れている方は少ないようです。定期的に成長の記録をつけることが重要です。
腎臓の症状
この遺伝子と症状との関係が最初に報告されたときから、腎臓の症状は起こりやすいことが知られています。腎低形成(腎臓が通常よりも小さい)、馬蹄腎(左右の腎臓が下の方でくっついてしまう)、膀胱尿管逆流(膀胱から腎臓へ尿が逆流する)、繰り返す尿路感染症、などがあります。こうした症状がある場合、腎臓内科や泌尿器科の医師と相談することが重要です。腎臓の検査をしたことがない場合、担当医にご相談ください。
泌尿器科の症状
比較的頻度の高い症状として言われています。生まれたタイミングで外性器の発達が未成熟なことを指摘されたお子さんもいるかもしれません。男児では陰嚢内に精巣が降りてきていない停留精巣、を合併している方は少なくありません。気になる症状がる場合、担当医へご相談ください。
心臓の症状
この体質をお持ちの方では、生まれつき心臓に病気(先天性心疾患)を持っていることが多いと言われます。心臓超音波検査などから先天性心疾患が見つかった場合、循環器科の医師に診てもらい治療方針を相談します。
その他の症状
呼吸の症状(肺が小さい、横隔膜が高い)、骨の症状(背骨の形の違い、側弯症:背骨が横に曲がる)、難聴(耳の聞こえの症状)。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠で同じ体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴う症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。