NFIA
遺伝子名: NFIA
疾患名 |
Brain malformations with or without urinary tract defects
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
NFIA遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
NFIA遺伝子は1番染色体の上に位置しており、染色体が欠けた場合に起こる症状の原因として知られていました。2007年にNFIA遺伝子の違いを持っている方が初めて報告され、そこから複数の患者が報告されるようになりました。現在まで約50名の患者が報告されており、遺伝子解析技術の進歩に伴い、今後も更に情報が増えることの期待される遺伝性疾患と考えられます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
中枢神経(脳・脊髄)
ほとんどの方で何らかの神経症状を認めると言われます。MRIやCTなどで検査を行った場合に、脳梁(左右の脳をつなぐ部分)が小さい、脳室(脳の中にある部屋)が大きい、小脳の位置がずれている(キアリ奇形)などが知られています。画像検査を行った際にこれらの所見を指摘される可能性があり、治療方針は神経内科や脳神経外科と相談していきます。
発達
発達はのんびりしている方が多いですが、その程度は様々です。ただし、できていたことが出来なくなる(退行と言います)ことはないようであり、多くの方で歩くことや言語でのコミュニケーションが可能となります。また、NFIA遺伝子に違いを持っていても発達の課題がない方も報告されています。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
てんかん
約半数の方でてんかんを合併すると言われており、発作のタイプは様々です。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。
腎臓・尿路(おしっこの通り道)
腎臓や尿路の症状は約半数の方で合併すると報告されています。膀胱尿管逆流(膀胱にたまったおしっこが腎臓へ逆流する)、水腎症(腎臓に水がたまる)、尿路感染症の反復、などが言われています。一度、腹部エコーでの評価も検討されます。また、咳や鼻水などの風邪症状がない中での発熱は尿路感染症の可能性もあります。
成長(身長・体重・頭の大きさ)
頭が大きい(大頭症)を持つ頻度が高いと言われます。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。また急激に頭の大きさが大きくなった場合は、担当医にご相談ください。
その他の症状
斜視(黒目の位置がずれる)、眼瞼下垂(上まぶたが下がり黒目にかかっている状態)など眼の症状を合併している方も報告されています。また、通常、頭蓋はパズルのピースのように、いくつかの骨が緩やかに接した状態で生まれてきますが、2歳ぐらいまでに少しずつ隙間がないようくっついて、頭蓋となりますが、そのプロセスが通常よりも早く進み(頭蓋骨縫合早期癒合)、脳の成長を妨げたり、頭の形が変形したりすることがあります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。約80%の方では、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。ただし、親子間でも症状の種類や重さが大きく異なることがあり、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は気づかれないほど軽微な場合もあります(表現度多様性)。この場合は、次の妊娠でNFIA遺伝子の変化を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。