MEF2C
遺伝子名: MEF2C
疾患名 |
Neurodevelopmental disorder with hypotonia, stereotypic hand movements, and impaired language
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
MEF2C遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
この症候群は5番染色体にあるMEF2C遺伝子がうまく働かなくなることを原因とします。2010年にMEF2C遺伝子が様々な症状の原因となることが分かってから、100例を超える報告があります。5番染色体の一部がMEF2C遺伝子を含む形で欠けて失われる場合(欠失型)と、MEF2C遺伝子に刻まれた情報が変化してうまく働かなくなる場合(点変異型)とがあります。染色体を細かく調べられるようになったり(マイクロアレイ染色体検査の保険収載化)、遺伝子を調べる技術が進歩したことにより、診断される患者さんの数は増えています。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。海外で実施された家族へのアンケート調査から平均で寝返り1.4歳、お座り2.2歳、歩き始め3.2歳と報告されています。一方、1歳6か月以上の方のうち約半数の方では一人歩きが難しいとされています。お話が苦手な方も多く、5歳以上のお子さんの約8割でお話が難しいとされています。お話が難しい場合に、サイン言語や絵カード、タブレットを用いたコミュニケーションを行っているようです。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
てんかん
80%を超える方がてんかんを合併すると報告されています。発症年齢は1歳前後が多く、2歳までに90%の方で発症すると言われています。抗けいれん薬内服などの治療により発作は軽減されるようです。けいれん発作は様々なタイプがあるため、普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。
行動の特徴
行動面での特徴は様々です。人と手をつなぐことやアイコンタクトが苦手・注意力散漫な方、また約1/4の方で自閉症スペクトラムと診断されていると言われています。一方で積極的に他者と交流を取る方もいます。また、聴覚過敏など周りの環境の影響を受けやすく、痛みに鈍感な方も多いようです。
消化器症状
様々なお腹の症状を来たす可能性があります。産まれてすぐのころは哺乳が上手にできず、経管栄養(胃に入れたチューブから直接ミルクを入れる方法)が行われている方もいます。それ以外に便秘症、胃食道逆流症、呑気症(空気を飲み込む)、歯ぎしりも起こりやすい合併症として知られています。
眼の症状
約60%の方で斜視や屈折異常(近視、遠視、乱視など)を合併すると言われています。眼科の先生による評価・フォローが重要となります。本やテレビが近いなど気になる症状がありましたら、担当医とご相談ください。
睡眠の症状
約40%の方で睡眠の症状:寝つきが悪い、眠りが浅い、などの症状を有していると言われています。症状が強い場合は内服薬も検討されますので、担当医にご相談ください。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられますただし、一般的に遺伝子の変化により発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でMEF2C遺伝子の変化を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。