KMT2A
遺伝子名: KMT2A
疾患名 |
ヴィーデマン・スタイナー症候群
Wiedemann-Steiner syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 小慢情報センター 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
KMT2A遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
この症候群は、1989年にWiedemannらによってはじめて患者さんの症状が報告され、2012年に原因遺伝子としてKMT2A遺伝子が同定されました。肘や背中に多毛の傾向があるのが特徴です。現在まで200名を超える患者さんの情報が報告されており、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが予想されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ず認めるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。多くの方で歩いたり、言葉でのコミュニケーションがとれるようになります。幅があるため、成人期でも歩行ができない方、お話が難しい方もいます。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長(身長・体重・頭の大きさ)
胎児期(お母さんのお腹にいるとき)から小柄と言われています。約30%の方が小頭(頭が小さい)になります。生まれてからも小柄なまま成長していくことが多く、定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
哺乳・栄養
筋緊張が弱く、約70%の方で哺乳が苦手です。25%の方で経管栄養(鼻から胃にチューブを挿入し、直接栄養を注入すること)が必要になります。その後、口から食事を摂ることは上手になっていきますが、慎重に評価する必要があります。
消化器
約60%の方で便秘を合併すると報告されています。日常生活の中で気になる症状がある場合、担当の先生にご相談ください。
歯科
半数以上の方で乳歯が早く抜け、永久歯が生えるのが早い特徴があります。かかりつけの歯科を探して定期的に通うようにしましょう。
腎泌尿器・生殖器
約25%に膀胱尿管逆流症などの腎臓の合併症がみられます。約20%で停留精巣や子宮欠損など生殖器の合併症があります。
骨格の違い
約半数の方で頚椎(首の骨)の癒合がみられます。他にも脊柱側弯(背骨が横に曲がる)、二分脊椎(脊髄が背骨で覆われない状態)などが報告されています。整形外科に定期的に通院することが推奨されています。
てんかん
約20%の方でてんかんを合併すると言われています。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。
その他の症状
心臓の合併症、目の症状や免疫低下、脳の形態の違い、耳鼻科に関係する症状などが知られています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。ただし、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でKMT2A遺伝子の変化を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
海外では、WSS Foundation(http://www.wssfoundation.org/)が活動しています。
指定難病には登録されていませんが、小児慢性特定疾患には登録されています。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。