HIST1H1E
遺伝子名: HIST1H1E
疾患名 |
Rahman syndrome
|
---|---|
登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
愛知県医療療育総合センター中央病院
|
ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 |
HIST1H1E遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
この症候群は、2017年にTatton-Brownらが、過成長とのんびりした発達を持つ5名の方にHIST1H1E 遺伝子の変化を見つけ、この症候群を初めて報告しました。現在まで50名を超える患者さんの情報が報告されており、遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質をお持ちの方では、成長や発達、体の特徴などについて、気をつけたほうがよい特徴や症状がいくつか知られています。以下にご紹介する内容は、限られた報告や研究をもとにまとめられた情報で、すべての症状を網羅したものではありません。あくまで「この体質の方にみられることがある傾向」としてご覧ください。また、同じ体質を持っている方でも、症状のあらわれ方や程度には個人差があります。すべての方に同じような症状が出るわけではありません。この情報は、「どんな症状が出る可能性があるのか」を事前に把握しておくためや、実際に見られた症状がこの体質と関係しているかを医師と一緒に考える際の参考として役立ててください。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていますが、その程度は様々です。2〜3歳でひとり歩きができるようになる人もいれば、10歳で歩くことができるようになった人もいます。お話に関しても2歳~3歳で言葉が出る方もいれば、成人期でもお話が難しい方もいます。また、言葉は聞こえの影響も受けるため、そちらの確認も重要となります。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長(身長・体重・頭の大きさ)
乳児期は頭の大きさや身長が大きめのことが多いようですが、成人になると平均的になっていくようです。成長ホルモンの分泌が少ないことで低身長になる方もいます。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
心臓の症状
生まれつきの心臓病(先天性心疾患)を持つ方は約40%と報告されています。心臓超音波検査などから先天性心疾患が見つかった場合、循環器科の医師に診てもらい治療方針を相談します。
耳の聞こえ
約15〜20%の方で難聴を合併すると報告されています。新生児聴力スクリーニングでの結果が参考となります。聞こえは言葉の発達に重要であるため、気になる症状があれば担当医にご相談ください。
髪や爪の症状
前髪の生え際が高い、毛髪が薄い、爪が脆いなどの特徴があります。
内分泌の症状
甲状腺機能低下症や思春期が遅れるなど、ホルモンの分泌に関わる合併症も報告されています。20代で2型糖尿病を発症した報告もあり、定期的な血液検査や尿検査が推奨されます。
筋肉や背骨の症状
約15~53%の方で背骨の症状:脊柱側弯(背骨が横に曲がる)が報告されています。側弯は成長期にも大きな課題となるため、定期的な外来受診の際に確認します。
目の症状
目の病気(斜視や近視、乱視など)は約36%の方にみられ、白内障や弱視の報告もあります。定期的に眼科の先生と相談することが勧められます。
泌尿器の症状
男の子では約70%で停留精巣(陰嚢内に精巣が降りてきていない状態)がみられます。多くは両側に起こり、手術による治療が行われることがあります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。