FLNA
遺伝子名: FLNA
疾患名 |
脳室周囲結節性異所性灰白質
FLNA related periventricular heterotopia
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
FLNA遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
FLNA遺伝子は人の体において様々な組織で働いていることが分かっています。遺伝子に起こった変化のパターンや、患者さんで見られる症状の違いなどから、耳口蓋指症候群(Oto-Palato-Digital syndrome)、前頭骨端異形成症(Frontometaphyseal dysplasia)、先天性短腸症候群など、様々な症状を示します。この項ではFLNA遺伝子に関連した脳室周囲結節性異所性灰白質について記載しています。他の病型に関しては、改めて更新をしていきます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、起こりうるすべての症状を網羅している訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
けいれん
この体質をお持ちの方では約50%の方に見られると報告されています。けいれんの精査から、FLNA遺伝子異常症の診断に至る方もいるようです。けいれんの発症は成人以降が頻度としては高いようですが、小児期でも熱性けいれんなどには注意が必要となります。気になる動きがあればご相談ください。動きをスマートフォンなど撮影できると、より情報量が増えますので、余裕がある場合はご検討ください。
心臓・血管
約半数の方で心血管系の合併症を持つと言われています。動脈管開存症など産まれつきの症状が多いようです。一方、約20%の方では年齢とともに大動脈が膨らみ、場合によっては重篤な合併症の原因となることもあります。継続的に循環器科の先生に見ていただくことが重要です。
骨・関節
約25%の方で何らかの合併所を認めると言われます。股関節など全身の関節に不安定性があり脱臼の原因となることもあるようです。歩行が不安定、痛みが出るなどありましたら、担当医にご相談ください。
呼吸器
15-20%の方で合併します。症状が強くなると、日常生活での息切れ・呼吸苦が見られるかもしれません。また、胸部レントゲン写真から無呼吸(肺に空気が入っていない)と診断されることもあります。感染を契機に呼吸症状が悪化する方もおり、感染への注意が必要です。
消化器
消化器症状は約10%の方に合併します。消化管の動きが悪いことが原因と言われており、便秘・嘔吐・摂食障害、それによる体重増加不良の原因となります。また、腸回転異常(腸が正しい位置に固定されていない状態)を合併することがあります。普段は問題ありませんが、急激な強い腹痛・反復する嘔吐を認めた場合は医療機関へ相談してください。
発達
程度の差はありますが、約10%の方で発達がのんびりしていると言われます。お育ちを確認する経過の中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
皮膚
軟らかく伸びやすい皮膚をお持ちの方もいるようです。普段の生活の中で大きく困ることはないと考えられますが、傷をした際には治りにくいかもしれません。
その他の症状
眼では斜視、血液検査では血小板の数が少ない方もいるようです。血小板の数が少ない場合、あざができやすくなります。身に覚えのないあざがたくさんある、繰り返すなどの場合は、担当医にご相談ください。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は男女で構成の違うX染色体(女性:X染色体が2本、男性:X染色体とY染色体が1本ずつ)に関連したX連鎖遺伝というパターンで伝わることが知られています。男性と女性でX染色体の構成が違うため、男女で頻度や重症度の違いがあり、男女比2:8で女児に多いという報告もあります。新生変異:配偶子(精子や卵子)が作られる過程における突然変異(偶然に起きたもので誰のせいでもない)、と母親が同じ遺伝子の違いを持っている可能性の両方があります。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は一般頻度と同じと考えられます。一方、母親が同じ遺伝子の違いを持っていた場合、お子さんに違いを持った遺伝子が伝わる可能性は50%となりますが、症状の程度は症例・性別により様々です。また、FLNA遺伝子異常症の体質を持つ方は50%の確率で違いを持った遺伝子がお子さんに伝わります。
遺伝のお話に関しては遺伝カウンセリング外来にてご相談ください。
遺伝のお話に関しては遺伝カウンセリング外来にてご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
伴っている症状や、その程度に応じて療育手帳によるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。