FGFR3
遺伝子名: FGFR3
疾患名 |
軟骨無形成症
Achondroplasia
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
|
ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 小慢情報センター 難病情報センター英語情報(OMIM) 日本語情報 |
FGFR3遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
軟骨無形成症は全身の骨に変化を認める骨系統疾患の代表的な疾患で、頻度は約2万人に1人の割合と言われています。原因遺伝子としてFGFR3遺伝子が知られており、成長軟骨が骨に変わる過程がうまくいかず、骨が縦に伸びにくいことが原因となります。本邦には約6000人の患者がいると推定されています。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
成長(身長・体重・頭の大きさ)
出生時、身長は平均的なことが多いです。成長とともに低身長が目立つようになり、最終身長は男性で約130cm、女性で約124cmほどと言われています。足や腕の短さ、指の短さは出生時からあり、頭の大きさは身長に比べて大きい(相対的大頭)を持つ方が多いです。FGFR3の働きに作用する薬(ボソリチド)や成長ホルモンの投与などが治療の選択肢となります。また外科治療として骨延長術が行われることもあります。軟骨無形成症の体質を持つ方を対象とした成長曲線も利用できます。定期的に成長の記録をつけていくことが重要です。
発達
知的には平均的な発達と言われます。ただし、相対的大頭のため、首のすわりやおすわり、歩行などが遅れますが、ひとりで歩けるようになる方がほとんどです。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
神経
大後頭孔(後頭部にある神経や髄液が通る空間)が狭く、神経が圧迫されたり、水頭症になったりすることがあります。神経が圧迫されると手足の麻痺やしびれ、突然死の原因となるため、首がすわっていない乳児期は首を屈曲しないように注意が必要です。脳神経外科の先生とともに経過をみます。
耳の聞こえ
中耳炎にかかりやすく、約90%の方で2歳までには罹患します。多くは慢性の中耳炎に移行し、30~40%で伝音性難聴(音を脳に伝えられない)になります。聞こえは言葉の発達に重要であるため、気になる症状があれば担当医にご相談ください。
呼吸の症状
睡眠時無呼吸症候群になりやすいといわれています。中枢性無呼吸(脳から呼吸の命令がうまく伝わらず起きる無呼吸)、閉塞性無呼吸(口や鼻などの空気の通り道が塞がることによる無呼吸)のどちらの可能性もあります。睡眠時に無呼吸がみられる場合は担当医にご相談ください。
背骨の症状
胸腰椎後弯症(胸と腰の背骨が後ろに曲がる)は80%に脊柱側弯(背骨が横に曲がる)は60%に、みられます。 側弯は成長期にも大きな課題となるため、整形外科の先生と相談しながら診療をしていきます。
成人期になると10-70%に脊柱管狭窄(背骨の神経の通り道が狭い)がみられます。足のしびれ、脱力、間欠性跛行(一定時間歩くと脱力感が起こり、少し休むと回復する)、神経因性膀胱による排尿障害(尿意を感じにくい、尿がたまっているのに排尿することができない)が症状として現れる可能性があります。このような症状が出た場合は、早めにご相談ください。
成人期になると10-70%に脊柱管狭窄(背骨の神経の通り道が狭い)がみられます。足のしびれ、脱力、間欠性跛行(一定時間歩くと脱力感が起こり、少し休むと回復する)、神経因性膀胱による排尿障害(尿意を感じにくい、尿がたまっているのに排尿することができない)が症状として現れる可能性があります。このような症状が出た場合は、早めにご相談ください。
歯の症状
歯列不整(歯並びが悪い)もみられます。この体質の方は保険適応で歯列矯正ができます。かかりつけの歯科を見つけて定期的に通院することが重要です。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。この体質では約80%の方が新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。 この体質を持つ方が親となる場合、子どもは50%の確率で同じ体質を受け継ぎます(ご夫婦ともに軟骨無形成症の体質を持つ場合は異なります)。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
軟骨無形成症は指定難病、小児慢性特定疾患に登録されています。社会資源の活用については担当医にご確認ください。