CDK13
遺伝子名: CDK13
疾患名 |
Congenital heart defects, dysmorphic facial features, and intellectual developmental disorder
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登録人数 | 4~6名 |
登録施設 |
名古屋大学医学部附属病院 小児科
長野県立こども病院
静岡県立こども病院 遺伝染色体科
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
CDK13遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
CDK13遺伝子と疾患の関連が初めて明らかとなったのは2016年です。先天性心疾患(生まれつきの心臓病)を持つ患者さんの遺伝子解析を行ったところ、7名の方にこの遺伝子の変化が同定されました。さらに、全員がのんびりした発達など共通の特徴を持っていることも分かりました。現在まで約100名の患者さんが報告されています。今後、遺伝子解析技術の進歩により、さらに情報が集まってくることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達の進みはのんびりしている方が多いですが、その程度は様々です。運動面では、いつ『お座りができる』『歩けるようになる』、というデータは十分に揃っていません。多くのお子さんは3歳以降、自力で歩けるようになるようですが、難しい方もいまうす。言葉の発達は苦手な方が多く、初めての言葉(始語)は1歳半過ぎから、二語文は5~7歳頃に獲得する方が多いという報告もあります。一方、小学生以降になっても言葉が出ない方もいます。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
生まれた時の体格は標準範囲内の方が多いようです。出生後は、約半数の方で小柄(身長・体重が標準範囲を下回る)と言われています。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
心臓の症状
約半数の方が先天性心疾患を持っており、そのうち約半数の方で心臓の手術が必要であった、という報告もあります。先天性心疾患があった場合、循環器科の先生と治療方針を相談します。
睡眠の症状
約半数の方で睡眠に関する課題を抱えています。眠りが浅い、寝つきが悪いなどの症状が見られた場合は、担当医にご相談ください。
眼の症状
斜視(黒目の位置がずれる)、近視・遠視など、眼に関する症状は約50%の方に見られます。定期的に眼科の先生へ通院することが重要です。
お腹の症状
筋緊張低下(筋力が弱い)により、哺乳障害(飲むことが苦手)の原因となります。哺乳障害が強い場合、経管栄養(鼻から胃にチューブを入れて、直接栄養する)を要することもあります。また、胃食道逆流症(げっぷや嘔吐を繰り返す)、慢性的な便秘に悩む方もおります。気になる症状があれば、担当医へご相談ください。
腎臓・泌尿器系の症状
約半数の方で、停留精巣(陰嚢内に精巣が降りてきていない)、水腎症(おしっこを集める管が腫れている)、などの症状を合併すると言われます。一度は、お腹の超音波検査での評価も検討されます。
てんかん
約20-30%の方で、てんかん発作を経験します。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。気になる動きを動画に収めていただくと、診断のヒントとなることもあります。
その他の症状
中耳炎を繰り返す、脊椎側弯症(背骨が横に曲がる)、関節拘縮(関節の曲げ伸ばしがしにくい)も比較的頻度の高い症状と言われています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この疾患は、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)というパターンで伝わります。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。新生変異の場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同等あるいは少し上がる程度と考えられます。ただし、遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なり、子がもつ遺伝子の変化を親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。