ASPM
遺伝子名: ASPM
疾患名 |
Microcephaly 5, primary, autosomal recessive
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
ASPM遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
2000年から、ASPM遺伝子が位置する1番染色体と疾患の関連が指摘されておりましたが、ASPM遺伝子との関連が明らかになったのは2005年です。小頭症(頭が小さい)を持つきょうだいに対して遺伝子解析を行った結果、この遺伝子に変化が同定されました。現在までに、200家族を超える症例が世界中から報告されています。今後、遺伝子解析技術の進歩により、さらに情報が集まってくることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしている方が多く、その程度は様々です。乳幼児期の運動発達は約半数の方で月齢通りに進むようです。言葉は苦手な方が多く、80%の方で初めての言葉が出てくるのは3歳以降であり、言葉を使ってのコミュニケーションが難しい方も少なくないと言われます。発達の様子を見守る中で、療育(発達支援)が提案されます。
小頭症(頭が小さい)
胎児期(母親のお腹にいるとき)から小頭症を指摘される方もいます。生まれた時の頭の大きさは約30cm(日本人の平均:約33cm)という報告もあり、その後も頭の大きさは小さいまま成長していきます。
成長(身長・体重)
出生時~1歳くらいまでは小柄な方も多いようですが、その後、身長・体重は標準範囲内となります。定期的に成長記録をつけることが重要となります。
行動の症状
幼児期~学童期くらいまでは言葉の状況から、イライラする、周りの方に手が出てしまうや、授業中に座ってられないなどの症状が見られるようです。これらの症状は年齢とともに落ち着いてくるようです。気になる症状がある場合、担当医に相談ください。
けいれん
約15%の方でけいれん発作を経験するようです。けいれんの型は様々であり、気になる動きが見られた場合は担当医に相談ください。その際、気になる動きを動画に納めていただくと診断のヒントとなることもあります。
その他の症状
皮膚の母斑(シミ、白く抜ける)、脊椎側弯症(背骨が横に曲がる)、難聴、多指症(指が多い)の症状も頻度は低いですが合併しうる症状として報告されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体潜性(劣性)遺伝というパターンで伝わることが知られており、両親から受け継いだ2つのASPM遺伝子の両方がうまく働いていない場合に症状が出ます。この場合、両親のいずれもASPM遺伝子の変化を1つずつ持っている可能性が高いと考えられます(保因者と言い、変化のないASPM遺伝子を1個持っているため症状は出ません)。この場合、次のお子さんで同じ体質を持つお子さんを授かる可能性は理論上25%となりますが、重症度の予測はできません。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。