AHDC1
遺伝子名: AHDC1
疾患名 |
シア・ギブス症候群
Xia-Gibbs syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
兵庫県立こども病院
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
AHDC1遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
Xia-Gibbs症候群は、2014年にXiaらによりAHDC1遺伝子に変化を持つ4人の患者さんの臨床情報が初めて報告されました。その後、論文などの形で我々が得られる患者さんの情報は限られておりますが、海外の家族会には約300名の患者さんが登録されております。遺伝子解析技術の臨床応用に伴い、今後報告数が増えることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
多くの方でのんびりしていると言われますが、その程度は様々です。一人歩きは平均2歳(1.5歳~6歳)、お話は2.75歳と報告されています。一人歩きが可能となった場合も歩行に関しては不安定な方が多いようです。また、コミュニケーション面は影響を受けやすいと言われており、大きくなっても言葉によるコミュニケーションが難しい方も少なくありません。発達を見守る中、療育(発達支援)が提案されることもあります。
けいれん
約半数の方でてんかん発作を持ち、初めて発作を経験する平均年齢は4歳(9か月~12歳の間)と報告されています。多くの方で、抗けいれん薬で発作へ対処することが可能となります。お子さんで、気になる動きがある場合は担当医に相談ください。気になる動きをスマートフォンなどで記録できると診断のヒントになります。
筋緊張低下(筋肉の弱さ)
産まれたときから筋緊張低下が見られやすいと言われています。四肢体幹の筋緊張低下は運動発達に、口周りの筋緊張低下は飲む・食べる・話す、という部分に影響を及ぼす可能性があります。発達同様に療育などの発達支援が重要となってきます。
成長
成長(身長や体重)は産まれた時は周りのお子さんと同じくらいですが、産まれた後は小柄な方が多いと言われています。これには筋緊張低下により飲む・食べる、が苦手なことも影響しています。定期的な外来受診の際に成長の記録をつけていくことが重要です。
呼吸
約半数の方で睡眠時無呼吸を合併すると言われています。これは体のつくりや、筋緊張低下により空気の通り道が狭いことが影響しています。夜間のいびき、それに伴って呼吸を止める様子があれば担当医へ相談ください。症状が非常に強い場合は、寝ているときだけ呼吸をサポートする機会を使用することもあります。
眼科
眼の症状を合併する方は少なくありません。斜視(黒目が横にずれている)を約半数の方で合併しますが、それ以外にも屈折異常(近視・遠視・乱視)や眼振(眼が揺れる)をお持ちの方もいます。小児期は“見る力”が育つ時期でもありますので、定期的に眼科の先生と相談するようになります。
背骨の側弯(横に曲がる)
側弯症は約20%の方で合併すると言われ、起こりやすい症状として思春期前後(10~21歳)が知られています。定期的な外来受診の際に確認していきます。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠でAHDC1遺伝子に違いを持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度への登録はありません。伴っている症状や、その程度に応じて療育手帳によるサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。