PACS1
遺伝子名: PACS1
| 疾患名 |
Schuurs-Hoeijmakers syndrome
|
|---|---|
| 登録人数 | 1~3名 |
| 登録施設 |
北海道立子ども総合医療・療育センター
東京都立小児総合医療センター
|
| ピアカウンセリング | 希望する |
| 関連情報 |
PACS1遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
PACS1遺伝子の変化と病気との関連が初めて明らかになったのは2012年のことです。このときには、2人の患者さんの情報が報告されました。その後も少しずつ症例が追加され、現在までに医学論文として50名を超える患者さんが報告されていますが、実際にはこれよりも多くの患者さんがいると推測されます。近年、染色体や遺伝子を詳しく調べる検査技術が進んできているため、今後もこの病気と診断される方は増えていくと考えられます。
どういう症状があるの?
この体質をお持ちの方では、成長や発達、体の特徴などについて、気をつけたほうがよい特徴や症状がいくつか知られています。以下にご紹介する内容は、限られた報告や研究をもとにまとめられた情報で、すべての症状を網羅したものではありません。あくまで「この体質の方にみられることがある傾向」としてご覧ください。また、同じ体質を持っている方でも、症状のあらわれ方や程度には個人差があります。すべての方に同じような症状が出るわけではありません。この情報は、「どんな症状が出る可能性があるのか」を事前に把握しておくためや、実際に見られた症状がこの体質と関係しているかを医師と一緒に考える際の参考として役立ててください。
気をつけた方がよい症状
発達
発達はのんびりしていることが多いと言われ、その程度には個人差があります。多くのお子さんで一人歩きが可能になると言われ、目安としては2~4歳頃と報告されています。また、言葉の発達もゆっくりなことが知られています。早いお子さんでは2歳前後から言葉が出始めますが、小学校入学の時期にも、言葉でのやり取りに支援が必要な方も少なくありません。お子さんの発達を見守りながら、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長(身長・体重・頭の大きさ)
身長や体重は小柄な方が多いと言われます。約20%の方では、身長が標準的な範囲を下回る低身長症と報告されています。また、頭の大きさが小さめ(小頭症)になるお子さんも約20%に見られるとされています。定期的に成長の記録をつけることが重要です。
てんかん
約半数の方でてんかん発作を経験します。発作のタイプは様々で、最初の発作が新生児期に起こることもあります。てんかんがあっても薬でコントロールしやすいと言われています。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。気になる動きを動画に収めていただくと、診断のヒントとなることもあります。
神経の症状
筋肉に力が入りにくい「筋緊張低下」がみられることがあり、発達がゆっくりだったり、重い場合には呼吸や哺乳に影響し、経管栄養(胃に通したチューブを使った栄養)が必要になることもあります。
行動面での課題
社会性の高いお子さんも多いと言われますが、約30~40%のお子さんで、怒りっぽさが目立つ、同じ行動を好む、音や触覚に敏感な感覚過敏を持つなど、行動の特徴を持つという報告もあります。お子さんが生活しやすいように周囲と協力し、生活環境を整えることが大切です。
お腹の症状
お腹に関する症状は20~40%の方で見られると報告されています。頑固な便秘、胃食道逆流などが比較的よく見られます。気になる症状があれば、担当の先生にご相談ください。
眼の症状
眼の症状を持つ方が約20%に見られると言われます。眼の構造の一部が生まれつきかけているコロボーマ、屈折異常(近視・遠視・乱視)、眼振(黒目が震える)、斜視(黒目の位置がずれる)が頻度の高い症状のようです。定期的に眼科の先生と相談することが勧められます。
心臓の症状
生まれつきの心臓病(先天性心疾患)を持つ方が10~20%と言われます。心臓超音波検査などから先天性心疾患が見つかった場合、循環器科の医師に診てもらい治療方針を相談します。
その他の症状
停留精巣(陰嚢内に精巣が降りていない)、二次性徴の遅れ、腎臓の形の違い、側弯症(背骨が横に曲がる)なども、これまでに報告されている合併症となります。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体顕性(優性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。多くの場合、新生変異(精子や卵子が作られる過程で偶然おきた遺伝子の変化)によるものであり、誰のせいでもありません。この場合、次子再発率(同じ体質をもつお子さんを妊娠ごとに授かる確率)は、一般頻度と同じと考えられます。ただし、一般的に遺伝子の違いにより発症する症例では親子間でも症状の種類や重さが大きく異なる場合があることが知られており、子がもつ遺伝子の変化を、親も持っているにも関わらず、親の症状は軽微なため気づかれていない事例があります。この場合次の妊娠で同じ体質を持つ子を授かる可能性は50%と見積もられます。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。


指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴う症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。