TBCK
遺伝子名: TBCK
疾患名 |
Hypotonia, infantile, with psychomotor retardation and characteristic facies 3
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 |
TBCK遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
TBCK遺伝子異常症は、ゆっくりした発達、てんかんなどを持つサウジアラビアのきょうだい例で初めて報告されました。これまでに世界中で100名以上の患者さんが確認されており、遺伝子解析の技術の進歩により、今後さらに多くの情報が得られると期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達(運動・言葉)
お子さんの発達は非常にゆっくりと進んでいく傾向があります。首が座る、お座りをできるようになりまでにも非常に時間がかかり、大きくなってからも自分の力で移動することが難しい方も少なくありません。またお話も苦手であり、お話によるコミュニケーションが難しい方が多いようです。発達を見守る中で、お子さんに合ったサポートとして療育(発達支援)が提案されることもあります。
神経の症状
ほとんどの方で筋緊張低下(筋力が弱い)が見られます。筋緊張低下により発達の進み方や哺乳・呼吸にも影響する可能性があります。また半数以上の方でてんかんを合併し、6か月~3歳頃に最初の発作が起こる患者さん多いと報告されています。発作を抑えるために抗てんかん薬を使用しますが、中には複数のお薬を使ってもコントロールが難しい場合もあります。普段の生活の中で気になる動きがあれば、担当医にご相談ください。気になる動きを動画に収めていただくと、診断のヒントとなることもあります。
呼吸の症状
TBCK遺伝子異常症をお持ちのお子さんでは、約半数に様々な形の呼吸に関する症状が見られます。筋緊張低下の影響で呼吸が浅く、酸素の補助や人工呼吸器が必要になることもあります。また、睡眠時無呼吸が見られることもすくなくありません。また、筋力が弱いため、咳をしたり痰を出したりする力が弱いため、風邪などの感染症にかかりやすい、かかった場合に重症化しやすい傾向があります。
骨の症状
約半数の方で骨に関する合併症が見られます。運動量が少ないために骨がもろく骨折しやすい、背骨が横に曲がる側弯症が起こりやすい症状と言われます。定期的に確認し、必要であれば整形外科と相談します。
哺乳の症状
筋緊張低下などの要因から、哺乳する力が弱いことがあります。約40%の方ではミルクを口から十分に飲むことが難しく、経管栄養(鼻から胃に通したチューブを通して栄養を摂る方法)が必要と言われます。
内分泌の症状
内分泌(ホルモンの働き)の症状として、甲状腺機能低下症(30%):甲状腺ホルモンの分泌が少ない、高コレステロール血症(25%)が報告されています。必要に応じて定期的な血液検査を行い、治療が必要であれば内分泌科の医師と相談します。
その他の症状
そのほかに、目の症状や尿路結石などの合併症がみられる可能性も指摘されています。何か気になる症状がありましたら、早めに担当医にご相談ください。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
TBCK遺伝子異常症は常染色体潜性(劣性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。遺伝子はお父さんとお母さんからそれぞれ1個ずつ受け継ぎ、2個1セットで働いています。TBCK遺伝子異常症では、2個あるTBCK遺伝子の両方がうまく働かなくなった状態と考えられ、ご両親それぞれが1個ずつTBCK遺伝子の変化を持っている可能性があります(保因者と呼ばれ、TBCK遺伝子の変化が1個だけの場合、症状は出ません)。この場合、次の妊娠・出産でTBCK遺伝子異常症をもつお子さんを授かる確率は25%となりますが、症状の予測はできません。
遺伝に関する詳しいお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関する詳しいお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。