RMRP
遺伝子名: RMRP
疾患名 |
軟骨毛髪低形成症
Cartilage-hair hypoplasia
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
静岡県立こども病院 遺伝染色体科
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ピアカウンセリング | - |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
RMRP遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
軟骨毛髪低形成症(cartilage-hair hypoplasia:以降はCHHと記載します)は、1965年にMcKusickらにより骨の異常を中心とした臨床症状が初めて報告されました。その後2001年にRidanpaaらによりRMRP遺伝子の違いにより発症することが報告されました。同じRMRP遺伝子の変化では臨床症状から髪の毛の所見を伴わない骨幹端形成異常など、いくつかの骨異形成症があり、骨症状の重症度の違いによってそれぞれの名前で呼ばれます。RMRP遺伝子異常症は現在までに世界中から約700例の報告があり、出生頻度はフィンランドのデータでは23,000出生に1人と言われています。しかし日本における詳細なデータはまだ乏しいのが現状です。以下はRMRP遺伝子異常症の中でもCHHについて記載します。
どういう症状があるの?
この体質では、骨の症状やからだつきの特徴、免疫に関連する症状など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにしているため、すべてを網羅している訳ではありません。また、同じ体質をもつ方のなかでも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、必ず症状を発症するとも限りません。必要に応じて先回りして検査する必要があるかどうか、何らかの症状がみられたときに体質と関係するものなのか、担当医と相談する際の目安とするものです。
気をつけた方がよい症状
骨の症状
軟骨の形成がうまくいかず、骨格に関連したいくつかの症状が見られます。腕や足の骨が短くなるため背が低くなります(低身長)。低身長は生まれた時からある場合、成長に従い徐々に明らかになる場合があります。成人における平均身長は男性で131cm、女性で122cmと報告されており(海外のデータです)、それぞれのペースで育っていくようです。その他に側弯症(背骨が横に曲がる)、胸郭変形、手足の関節が軟らかい等が報告されています。必要に応じ整形外科や理学療法士などにも対処法を相談します。
髪の毛の症状
髪の毛は細い、まばら、短い、もろい、色が薄いなどの特徴をもつ場合があります。日本人の患者さんでは海外の方と比べて毛髪には所見が見られにくい可能性も報告されています。現状、根本的な解決は難しく、医療美容(medical cosmetics)も選択肢のひとつになるかもしれません。
免疫の症状
細菌やウイルスなどの外敵から体を守る機能を免疫と言います。CHHでは免疫不全(免疫がうまく働かず、感染症にかかりやすくなる状態)を起こす人が多く、診断された際は免疫不全がないか検査を行う必要があります。免疫不全がある場合には、そのタイプにより適切な治療法を相談します。予防接種の種類や時期についても免疫の状態によって調整が必要です。感染症にかかると重篤になり得るため、適切な感染予防(手洗い、消毒など)が勧められます。
貧血
約80%の方が貧血を合併すると言われています。多くが軽症であり小児期に自然と改善すると言われていますが、時に重症な貧血を合併する場合もあるため、定期的な血液検査を提案する場合があります。
悪性腫瘍
約10%の方が悪性腫瘍を発症したという報告があります。腫瘍の種類は様々です。定期的な血液検査や腹部超音波検査によって腫瘍の発生がないかを評価します。もし腫瘍がある場合には腫瘍専門の医師に診てもらい治療法を相談します。
その他の症状
自己免疫疾患、ヒルシュスプルング病(頑固な便秘)、精子形成不全や思春期遅発なども報告されています。CHHの体質を持っている方の知的発達は正常と言われています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は、常染色体潜性(劣性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。遺伝子はお父さんとお母さんからそれぞれ1個ずつ受け継いでおり、2個1セットで働いています。CHHでは2個あるRMRP遺伝子の両方がうまく働かなくなった場合に症状が出ます。多くの場合、ご両親それぞれが1個ずつ遺伝子の変化を持っていると考えられます(保因者と言います:違いのないRMRP遺伝子を1個持つため症状は出ません)。この場合、次のお子さんでCHHの体質を持つお子さんを授かる確率は25%となります。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴っている症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医に、ご確認ください。