FRAS1
遺伝子名: FRAS1
疾患名 |
フレイザー症候群
Fraser syndrome
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 | 英語情報(OMIM) 日本語情報 |
FRAS1遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
フレイザー症候群(Fraser syndrome)は、1962年にFraserによって類似した複数の症状をもつ2組の姉妹例として始めて報告され、2003年McGregorらがFRAS1遺伝子の違いにより発症することを発表しました。その後の報告でFRAS1以外にも、FREM2遺伝子とGRIP1遺伝子がFraser症候群の原因遺伝子であることがわかっています。現在まで250例以上の報告が確認されており、日本からも複数名の報告があります。頻度は約50万人に1人と考えられています。今後、更に患者さんの情報が集まってくることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では眼の症状や内臓の症状、からだつきの特徴など、いくつかの注意した方がよい症状が知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、起こりうるすべての症状を網羅している訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
眼の症状
ほとんどの方が産まれつきの眼の症状をもっており、なかでも伏在眼球という、眼が皮膚で覆われた状態の方が約90%と報告されています。両眼の方が多いと言われますが、片眼の場合もあります。視力に影響を与えることが多く、眼科の先生による評価・フォローが重要です。状況によっては形成手術を行うことも検討されます。
腎臓
80%以上の方で腎臓の発育の程度が弱かったり(低形成)、全く形作られていなかったりする(無形成)ことが知られています。超音波検査などから腎臓の形の違い(両側なのか片側なのか、大きさの程度はどの位なのか、それ以外の形の違い)を、血液検査や尿検査などから腎臓の機能を評価していくことが重要です。腎臓内科への定期的な通院が必要な方もいます。
骨格
80%以上の方で、合指症(手や足の指の一部または全部がくっつく症状)を持っています。整形外科や形成外科の先生に見てもらい、手術で治療することがあります。
外性器
男の子であれば停留精巣(精巣が陰嚢内にないこと)、尿道下裂(尿道が陰茎の先ではなく位置がずれること)、女の子であれば双角子宮(子宮が左右に分かれる)や腟閉鎖等を合併している方が約20%と言われています。泌尿器科や外科の先生に見てもらい、治療方針を相談していきます。
発達
多くの方で成長や発達は年齢相当に進んでいくと言われています。一方で、眼の見えにくさの影響から、何かしらのお手伝いが必要である方もいます。見えにくさを含め、発達がのんびりしている場合には療育(発達支援)が検討されます。
その他の症状
気道の症状、耳の形の違いなどが知られています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この体質は常染色体潜性(劣性)遺伝というパターンで伝わることが知られています。これは2個あるFRAS1遺伝子(自身の父親と母親から1個ずつもらってくる)の両方がうまく働かなくなった場合に症状が出ます。多くの場合、ご両親それぞれが1個ずつ遺伝子の変化を持っていると考えられます(保因者と言います:違いのないFRAS1遺伝子を1個持つため症状は出ません)。この場合、次のお子さんもフレイザー症候群の体質を持つ確率は25%となります。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
遺伝に関するお話を希望される方は、遺伝カウンセリングにて対応できますので、ご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
フレイザー症候群は現在、指定難病や小児慢性特定疾患には登録されていません。
視覚障害のあるお子さんへの支援として、各都道府県の視覚特別支援学校が養育相談や指導などを行っている場合があります。合併している症状や、その重症度に応じて医療費助成や療育手帳などのサポートを受けることができる可能性があります。気になる方は外来受診の際に担当医に確認してください。