CTCF
遺伝子名: CTCF
疾患名 |
Intellectual developmental disorder, autosomal dominant 21
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登録人数 | 1~3名 |
登録施設 |
東京都立小児総合医療センター
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ピアカウンセリング | 希望する |
関連情報 |
CTCF遺伝子について、みなさんと考えたいこと
はじめに
CTCF遺伝子の変化と症状との関連が初めて報告されたのは2013年になります。Gregorらによって、のんびりした発達など共通の症状を持つ3名の患者さんが紹介されました。現在まで100名を超える患者さんが報告されており、今後遺伝子解析技術の進歩により、さらに情報が集まってくることが期待されます。
どういう症状があるの?
この体質を持つ方では、成長や発達、体つきの特徴など、注意が必要な症状がいくつか知られています。以下の症状は限られた報告をもとにまとめられたものであり、すべての症状を網羅した訳ではありません。また、同じ体質を持つ方でも、症状の種類や重さには個人差があることが知られており、すべての症状を必ずみとめるとは限りません。想定される症状について先回りして検査しておく必要があるのか、みられた症状が体質と関係したものかどうか判断する際の目安となるものです。
気をつけた方がよい症状
発達
多くの方で発達がのんびりしていると言われますが、その程度は様々です。運動発達の目安では、お座りができるようになるのが平均12カ月(6~24カ月)、ひとり歩きが平均18カ月(12~42カ月)と言われほとんどの方で自分で歩くことができるようになりますが、バランスを取ることが苦手で転びやすいため注意が必要かもしれません。最初の言葉は平均20カ月(10か月~5歳)、お話は苦手な方が多いと報告されています。発達を見守る中で、療育(発達支援)が提案されることもあります。
成長
生まれた時の体格は標準範囲内の方が多いようです。生まれた後は、哺乳障害などの影響から約30%の方で小柄(身長・体重が標準範囲を下回る)と言われます。定期的に成長の記録をつけていくことが重要となります。
筋緊張低下(筋力が弱い)
約半数の方で筋緊張低下を持ち、運動発達に影響したり、哺乳障害(飲むことが苦手)の原因となります。症状が強いと、経管栄養(鼻から胃にチューブを入れて、直接栄養する)が必要となるかもしれません。またお腹の症状として胃食道逆流症や便秘を持つ方もいます。
眼の症状
約半数の方で斜視(黒目の位置がずれる)、屈折異常(近視・遠視・乱視)、眼瞼下垂(まぶたが下がってしまう)、など眼の症状を合併します。定期的に眼科の先生と相談することが勧められます。
骨の症状
約半数の方で、脊椎側弯症(背骨が横に曲がる)、脊椎後弯症(背骨の前後への曲がりが強くなりすぎる)、扁平足など骨の症状を合併すると言われます。定期的な外来受診などの際に確認し、症状が現れた場合には整形外科への相談が勧められます。
口の中の症状
約30%の方で歯の生え始めが遅いなど歯の症状を持ち、また約20%の方で口蓋裂(口の中の屋根の部分が閉じずに開いている)を持つと言われます。定期的に歯医者さんにかかることが勧められます。
睡眠の症状
約30%の方では、寝つきが悪い、夜中に起きてしまう、など睡眠の症状を持つと報告されています。症状が強いとお薬が検討されることもあり、気になる症状があれば担当医にご相談ください。
腎臓の症状
約25%で産まれつきの腎臓の形の違いを持っている方がいます。一度は、お腹の超音波検査での評価も検討されます。気になる症状があれば、担当医へご相談ください。
その他の症状
呼吸器感染症、難聴、先天性心疾患(生まれつきの心臓病)、けいれんなども頻度の高い合併症として報告されています。
どういうふうに家族へ遺伝するの?
この疾患では「常染色体顕性遺伝(優性遺伝)」という遺伝形式が知られています。親から受け継いだ2つの遺伝子のうち1つに変化(変異)があると発症します。しかし、実際の患者さんの90%以上では「新生変異(de novo変異)」と呼ばれる、精子や卵子がつくられる過程、あるいは受精後まもない時期に偶然生じた遺伝子の変化が原因で起きています。この場合、親の遺伝的な影響はなく、「誰のせいでもない」自然発生的な変化と考えられます。次のお子さんにも同じ遺伝子の変化がみられる確率(次子再発率)は一般的な頻度と同程度か、やや高い程度と考えられます。一方、全体の数%ですが、親のどちらかに同じ遺伝子の変化があっても、それに気づかれなかった報告例があります。同じ遺伝子の変化があっても親の症状が軽く目立たなかった可能性があります。この場合、次に授かるお子さんが同じ遺伝子の変化をもつ確率は50%ですが、症状の有無や重さは個々に異なるため、正確に予測することはできません。詳しく知りたい、ご不安がある場合は、遺伝カウンセリングでご相談ください。
利用できる社会資源はあるの?
*本ページの内容は、掲載時のものです。今後、新しい情報が得られたときは、適宜情報をアップデートしていきます。
指定難病や小児慢性特定疾患といった助成制度にも登録はされていません。伴う症状や、その程度に応じて何らかのサポートを受けることができる場合があります。社会資源の活用については担当医にご確認ください。